2025/08/30
防災・危機管理ニュース
【ワシントン時事】米国務省は29日、来月下旬にニューヨークで開かれる国連総会を控え、パレスチナ自治政府やパレスチナ解放機構(PLO)の関係者に対し、ビザ(査証)の発給を制限する方針を発表した。自治政府のアッバス議長も対象。米国への入国が禁じられ、国連総会に出席できなくなる。
国務省当局者は取材に対し、「他の自治政府当局者約80人と共にアッバス氏もこの措置の影響を受ける」と説明。同省は「PLOと自治政府はテロリズムを否定し、教育を通じたテロの扇動をやめるべきだ」と批判したほか、イスラエルの同意抜きの国家承認に反対する立場も強調した。
パレスチナのマンスール国連大使は29日、国連本部で記者会見し、フランスとサウジアラビアが9月22日にイスラエルとパレスチナの「2国家共存」を目指す首脳級会合を主催すると発表した。アッバス氏の出席も明らかにしたが、国務省の措置に伴い、参加は不透明な状況だ。
英国や仏、カナダ、オーストラリアは国連総会に合わせ、パレスチナを国家承認する方針。マンスール氏は「約10カ国がパレスチナを国家承認する可能性がある」と期待を示した。
しかし、イスラエルの「後ろ盾」であるトランプ政権は、パレスチナの一方的な承認に反対する姿勢を示している。米ニュースサイト「アクシオス」はビザの発給制限により、アッバス氏が国連総会の演説で「独立」を宣言することをトランプ政権が阻もうとしていると報じた。ドゥジャリク国連事務総長報道官は記者会見で「全ての国連加盟国、オブザーバー国家の代表は出席が可能であるべきだ」と述べた。
〔写真説明〕パレスチナ自治政府のアッバス議長=4月23日、パレスチナ自治区ラマラ(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

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