コラム第1回では「海外事業とリスクの関係」について解説を致しました。第2回は、「Ⅰ.海外リスクを管理するリスクマネジメントとは」の中でリスクマネジメントの定義を復習するとともに、グローバル事業で成功するために、目まぐるしく変わるVUCAの時代の「Ⅱ.グローバルビジネスリスクへの対応」について述べていきたいと思います。
Ⅰ. 海外リスクを管理するリスクマネジメントとは
1. リスクマネジメントとは
リスクマネジメントの定義
リスクマネジメントにはリスクの対応範囲と捉え方に応じて様々な定義があります。聞かれることもあると思いますが、ERM(エンタープライズ・リスク・マネジメント)の定義は、「経営に関するビジネスリスクを包括的に捉え、企業を取り巻くビジネスリスクに戦略的にどう対応するかを経営の視点から考え、企業価値を最大化する経営活動」と言われてます。
ERMは対応するビジネスリスクの範囲が広く、概念的になる事が多いため、実際の企業活動に落とし込むのは難しいと言われてます。従って、今回は、以下で述べる狭義のリスクマネジメントとクライシスマネジメントを包括する広義のリスクマネジメントに焦点を合わせてその定義を見ていきたいと思います。
狭義のリスクマネジメントは損失発生の可能性の防止を中心とします。人間の健康に例えれば平素の健康管理に相当します。一方、クライシス発生にどのように対応するかは、平素のリスクマネジメントとは別の対応が必要で、クライシスマネジメント(危機管理)と呼ばれています。平素の健康管理(リスクマネジメント)がいかに良くても人は病気になります。病気になったらどう早く治すかを事前に考えて用意することがクライシスマネジメント(危機管理)です。
事業活動の観点からみると、狭義のリスクマネジメントの定義は「事業活動の遂行で損失が発生しないように一連のリスク管理を行い、損失発生防止を中心とする狭義のリスクマネジメント」と「ストライキ、地震、大規模なデモ等の事業活動で重大なクライシス(危機)が発生した場合にその損失を最小限に抑えるように対応するクライシスマネジメント」の両方を包括した概念となります。これが「広義のリスクマネジメント」の定義となります。
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