第3回 リスクの基本特性とバイアスの排除
リスクの基本特性を理解する

高原 彦二郎
出光興産株式会社に入社。ロンドン、香港副支店長、北京所長、本社課長を歴任。海外現地法人の経営管理、内部統制、経営監査、中東駐在員のクライシスマネジメント、ビジネス・リスクマネジメント等を経験。2005年コンサルビューション株式会社を設立し、海外に進出した日系企業のリスクソリューションを中心にコンサルティングを行っている。中小企業診断士。事業承継士。第三者承継士。人を大切にする経営大学院(EMBA)。
2025/10/02
海外事業を成功させるリスク管理とは
高原 彦二郎
出光興産株式会社に入社。ロンドン、香港副支店長、北京所長、本社課長を歴任。海外現地法人の経営管理、内部統制、経営監査、中東駐在員のクライシスマネジメント、ビジネス・リスクマネジメント等を経験。2005年コンサルビューション株式会社を設立し、海外に進出した日系企業のリスクソリューションを中心にコンサルティングを行っている。中小企業診断士。事業承継士。第三者承継士。人を大切にする経営大学院(EMBA)。
第2回コラムで「Ⅰ.海外リスクを管理するリスクマネジメントとは」の中でリスクマネジメントの定義の復習を、また、目まぐるしく変わるVUCAの時代の「Ⅱ.グローバルビジネスリスクへの対応」について述べました。今回は、リスクの基本特性とバイアスの排除について述べて行きます。
(1)リスクの基本特性
一般的にリスクには「潜む」「変化する」「繰り返す」「連鎖する」「何も対応をしないと増える」の5つの基本的な特性があります。これらの基本特性は、外部経営環境、内部経営環境の変化に合わせて、顕在化する順番や形を変えながら常に存在しています。
リスクの代表的な例である「不正リスク」について、この基本特性を見てみましょう。不正には不正を起こす人間が見つかるまで不正をやり続けるという特性、すなわち「繰り返す」という特性があります。また見つかるまでの間に、その不正手段が「変化」し、形を変えて「潜む」ことで他の不正と「連鎖」し、対応を怠ると被害金額が発見されるまで「増加する」という特性があります。
(2)VUCAの時代に求められるリスク対応とは
こういったリスクの基本特性がある中、VUCAの時代は今まで以上に、変化が多く、そのスピードが非常に速くなります。今までとは異なるVUCAの時代の特徴を踏まえた場合、リスクマネジメントの基本姿勢として、日本人が陥りがちな完璧さを求めずに、「オーバーコンプライアンス、オーバープランニング、オーバーアナリシス」の3つの「オーバー(やりすぎ)」を回避する姿勢が求められます。リスクマネジメントは、完璧を求めすぎるとリスクの洗い出しなどの前段階での準備ばかりに時間がかかり、リスクマネジメントの計画が完成した時には既に外部・内部環境が変わり、その計画が使えないという事にもなりかねません。
VUCAの時代は特に外部・内部環境の変化が激しいため、リスクマネジメントをある程度実践しながらリスク対応を考える「アジャイル方式」のリスク対応が求められます。
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