リスクがどこに潜むか参加者に考えさせる浅野氏(一部、加工処理済)
元海上自衛隊1等海佐でエンドステートナビゲーション代表の浅野 潔氏

リスク対策.com は10月27日、東京・千代田区のリファレンス麹町で海外危機管理研修を開催した。元海上自衛隊1等海佐でエンドステートナビゲーション代表の浅野 潔氏が台湾を巡る国際情勢の激変に備えた、図上訓練の実施法を説明。ワークショップでは複数のシナリオについて対応を考え、退避計画の策定にも着手した。

浅野氏は「地図を見る視点を変えると見える世界が変わると」と話し、逆さに見るなど複数の見方を提示。そこから各国の動向と東アジアでの関係性から、地域的、地理的リスクの分析や想定される出来事について解説した。近年、注目されている認知戦についても「思考、判断、意味付け、価値観、信念を操作したり揺さぶったりする」と紹介。政府の対応を含め、事業と人材を中心とした経営資源を守る前提などを確認した。

グループに分かれて実施した図上訓練では、架空の電子機器製造会社を設定。現地法人や本社の対策本部の一員として、有事の対応について検討した。参加者は限られた時間と情報の中で、従業員の安全確保や事業継続の判断、資産の保全などについて活発に意見を出し合い、刻一刻と変化する事態に向き合った。最終的には退避計画の策定にまで着手した。

浅野氏は演習を振り返る重要性を伝え、「自社の危機管理体制が機能するか、確認してほしい」と締めくくった。

参加者の声
・広範囲の対応を考えたが、現実化したら複雑すぎる。ぞっとします。
・現地とのコミュニケーションの重要性を実感。普段から連絡する機会を設けないといけない。
・退避計画までは全く考えていませんでした。
・事前の準備で負担を大幅に減らさないと、このままでは対応できない。
・代替案であるプランBの重要性が理解できました。