高市総理は日本の分断を制することができるか
第99回:分断構造の実態とリスク要因(4)
多田 芳昭
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。領域はDX、セキュリティー管理、個人情報管理、危機管理、バックオフィス運用管理、資材・設備調達改革、人材育成など広範囲。バイアスを排除した情報分析、戦略策定支援、人材開発支援が強み。
2025/11/17
再考・日本の危機管理-いま何が課題か
多田 芳昭
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。領域はDX、セキュリティー管理、個人情報管理、危機管理、バックオフィス運用管理、資材・設備調達改革、人材育成など広範囲。バイアスを排除した情報分析、戦略策定支援、人材開発支援が強み。
高市早苗氏が第104代内閣総理大臣に選出された。生みの苦しみというべきか、石破前総裁の責任論から始まる政局は、自民党総裁選後もさらに混迷を極めた。それを制するかたちで総理の座を勝ち取り組閣をした瞬間に、一部の調査では支持率70%、若者層では80%を超え、その後の外交デビューでさらに上昇、80%を超える期待を背負っての船出だ。
しかし、現実を直視すれば前途多難であり、混迷状態はなんら解消されたわけではない。古い分断構造の最後の足掻きが苛烈になると予想できる。
BSテレビで「死んでしまえと言えばいい」との大御所MCの発言が放送された。謝罪したが、再発防止を想定した反省に感じないのは筆者だけだろうか。テロを助長しかねない内容にも関わらず、だ。
「支持率下げてやる」という報道カメラマンの発言を裏付けるような「ダッチアングル」という手法を使った映像が公共放送で放映され、ほかにもいくつかのメディアで使われた。ホラー映画などで使われる手法で、人を不安に陥れる心理効果を持つ。プロの報道マンが知らないはずがなく、明らかに意図的に使っているのだ。
別のニュースでは、不支持率が実際よりも高い値になったグラフを使用していた。ミスというにはあまりにお粗末、印象操作といわれても仕方がない。
何はともあれ、この種の攻撃は今後も激しさを増すだろう。しかし、これらはもう滅びゆく最後の足掻きといっても過言ではない。見苦しさもともなったこの攻撃は、ネットの情報社会で白日の下に晒され、あまりの酷さにむしろ支持率を上げる方向に影響していると考えるべきだろう。
そうであれば、この自民党内にも現存する古き分断構造を名実ともに制することができるか、それとも古き分断とともに崩壊するか、その瀬戸際に高市政権は置かれていると感じる。現時点の支持率の構造を見ると、政権の支持率は爆増しているが、自民党の支持率はそれほど上がっていないのだ。
『悪夢の民主党政権』と揶揄される状態から自民党が政権奪還した後も、この悪夢は人々の心に根強く残った。今回は『悪夢の岸波政権』からの政権奪還と位置付けられるだろうから、この悪夢の再現を阻むことが求められる。しかも、前回の悪夢は民意で決した結果だが、今回の悪夢は、民意を無視したかたちで自民党内の政権交代で起き得るのだから質が悪い。
早速、新政権が年内にガソリン暫定税率廃止をいいながら、自民党税調は早くて来年2月、しかも恒久的増税財源ありき、さらには高校無償化の財源とセットとまでいった。明らかに総裁の方針に反する発言である。
これは前政権時の閣議で決した「骨太の方針」が官僚主導で定まっていることに起因しているかもしれないが、国民目線ではあずかり知らない話だ。確かに次回の「骨太の方針」からは政治主導に取り戻そうとする人事に見えるが、それを待っていられないのが日本の実情である。
再考・日本の危機管理-いま何が課題かの他の記事
おすすめ記事
社長直轄のリスクマネジメント推進室を設置リスクオーナー制の導入で責任を明確化
阪急阪神ホールディングス(大阪府大阪市、嶋田泰夫代表取締役社長)は2024年4月1日、リスクマネジメント推進室を設置した。関西を中心に都市交通、不動産、エンタテインメント、情報・通信、旅行、国際輸送の6つのコア事業を展開する同社のグループ企業は100社以上。コーポレートガバナンス強化の流れを受け、責任を持ってステークホルダーに応えるため、グループ横断的なリスクマネジメントを目指している。
2025/11/13
リスクマネジメント体制の再構築で企業価値向上経営戦略との一体化を図る
企業を取り巻くリスクが多様化する中、企業価値を守るだけではなく、高められるリスクマネジメントが求められている。ニッスイ(東京都港区、田中輝代表取締役社長執行役員)は従来の枠組みを刷新し、リスクマネジメントと経営戦略を一体化。リスクを成長の機会としてもとらえ、社会や環境の変化に備えている。
2025/11/12
入国審査で10時間の取り調べスマホは丸裸で不審な動き
ロシアのウクライナ侵略開始から間もなく4年。ウクライナはなんとか持ちこたえてはいるが、ロシアの占領地域はじわじわ拡大している。EUや米国、日本は制裁の追加を続けるが停戦の可能性は皆無。プーチン大統領の心境が様変わりする兆候は見られない。ロシアを中心とする旧ソ連諸国の経済と政治情勢を専門とする北海道大学教授の服部倫卓氏は、9月に現地視察のため開戦後はじめてロシアを訪れた。そして6年ぶりのロシアで想定外の取り調べを受けた。長時間に及んだ入国審査とロシア国内の様子について聞いた。
2025/11/11
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/11/11
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方