【北京時事】中国商務省は9日、レアアース(希土類)やリチウムイオン電池に関する輸出規制を強化すると発表した。レアアースについては、輸出先を厳格に管理する内容が柱で、貿易摩擦を抱える米国などへの迂回(うかい)輸出阻止を狙った可能性がある。

 公告では、国内の輸出事業者に対し、最終的な仕向け地を明確化するよう要求。商務省は報道官談話で「一部の海外組織・個人が輸出規制対象の中国産レアアースを、(第三者へ)再輸出してきた」と主張した。

 商務省は別の公告で、中国企業や個人による国外のレアアース採掘・製錬技術支援の制限や、生産関連設備の輸出規制強化も明らかにした。

 リチウムイオン電池については、税関総署と共同で公告を発表。ダイヤモンドや黒鉛に関する制限も強める。 

 中国は世界最大のレアアース生産国で、採掘や製錬技術も世界トップ水準とされる。4月には幅広い用途で使われるジスプロシウムなどの輸出規制を強化し、日米で自動車の生産が一時止まるなど大きな影響が出た。対米貿易交渉がこう着する中、輸出規制の強化で圧力を強め、優位な交渉につなげる狙いもありそうだ。(了)

(ニュース提供:時事通信 2025/10/09-20:26)

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