防災・災害対応の司令塔機能を担う防災庁について、政府が2026年11月1日に内閣の下に新設する方向で調整していることが分かった。東京の本庁に加えて27年度以降、南海トラフと日本海溝・千島海溝周辺で発生が見込まれる各大規模地震の想定地域内に1カ所ずつ、地方拠点を設ける方針だ。

 政府関係者が1日、明らかにした。防災庁は(1)総合調整(2)戦略的な防災計画・対策の企画立案(3)災害発生時の事態対処(4)産官学民連携体制の構築など地域防災力強化―の4部局で構成。専任閣僚を置き、平時から各府省庁に対して「勧告権」を持たせる方向で検討する。

 体制は、現在の内閣府防災担当の220人から増員する。政府は関連法案を26年の通常国会に提出、成立を目指す。

 南海トラフは静岡県沖から宮崎県沖にまたがる太平洋側の海溝で、日本海溝・千島海溝は東北と北海道に沿う。政府の想定によると、南海トラフ地震では主に東海地方以西が、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震では北海道から福島県に至る地域が大きな被害を受けるとされる。

 11月の新設は、法成立後の準備期間を3カ月以上確保するとともに、台風などによる大雨災害が多発する6~10月期を避ける狙いがある。

 防災庁は、昨今の激甚化する風水害や大規模地震の発生を踏まえ、石破茂前首相が提唱。24年11月に準備室を発足させた。

 後継の高市早苗首相も、10月の所信表明演説で「日本は世界有数の災害大国だ。防災体制の抜本的強化を図るべく、設立に向け準備を加速する」と訴えていた。(了)

(ニュース提供元:時事通信社)