【ベルリン時事】ドイツ自動車各社が、半導体が再び不足する可能性に身構えている。米中対立を背景に、サプライチェーン(供給網)の一部を担っていたオランダ企業からの供給が停滞。影響がどの程度広がるかは不明だが、「車の生産が停止する恐れがある」(独有力紙)との見方も出ている。
 問題のオランダ企業は、車や家電向けの半導体を製造する「ネクスペリア」。同社などによると、米商務省は9月29日、親会社の中国企業、聞泰科技(ウイングテック)に昨年12月に導入した米国からの輸出制限を、子会社にも適用すると決定。同30日にオランダ政府が「経済安全保障上のリスク」を理由にネクスペリアの経営権を掌握する異例の措置を講じると、中国商務省は今月4日、同社が中国で製造した製品の輸出を規制した。
 自動車メーカーが代替調達先を見つけるのは難しくないとみられる。ただ、部品変更に関する当局の承認手続きに時間を要したり、供給不足によって価格が高騰したりする可能性がある。独紙フランクフルター・アルゲマイネは、「世界的な車生産の停滞」につながると懸念する産業界の声を伝えた。
 独自動車大手BMWは「供給網が部分的に影響を受けている」ことを認めた。フォルクスワーゲン(VW)やメルセデス・ベンツも影響を精査している。 
〔写真説明〕ベルリン中心部を走る車=資料(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)