厚生労働省は17日に開催された労働政策審議会で、「カスタマーハラスメント(カスハラ)」から労働者を守るため、全企業と自治体に対策を義務付ける法律を2026年10月1日に施行する方針を示した。

カスタマーハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針の素案では、企業が果たすべき責務が明示された。具体的には、「カスハラを許容しない」とする方針を明文化し、労働者に周知・啓発することを求める。土下座の強要や脅迫、SNSでの悪評投稿の示唆、無断撮影、長時間の拘束など典型的なカスハラ事例を理解させ、現場での判断基準を共有することが不可欠とされる。

また、労働者を一人で対応させない体制づくりや、相談窓口の設置、管理監督者による迅速な指示・支援など、組織として被害防止に取り組む仕組みの整備も盛り込んだ。

加えて、被害が発生した場合の迅速な事実確認、被害者の保護措置、必要に応じた警察通報や法的対応など、事後対応の実効性確保も企業の責務となる。相談した労働者への不利益取り扱いを禁じ、プライバシー保護を徹底することも求められる。企業には、再発防止のための研修や職場環境の改善を含め、総合的な対策を継続的に実施することが期待されている。