第8回 海外子会社経営リスク管理編(4)
日本と欧米のガバナンスの違い
高原 彦二郎
出光興産株式会社に入社。ロンドン、香港副支店長、北京所長、本社課長を歴任。海外現地法人の経営管理、内部統制、経営監査、中東駐在員のクライシスマネジメント、ビジネス・リスクマネジメント等を経験。2005年コンサルビューション株式会社を設立し、海外に進出した日系企業のリスクソリューションを中心にコンサルティングを行っている。中小企業診断士。事業承継士。第三者承継士。人を大切にする経営大学院(EMBA)。
2025/12/17
海外事業を成功させるリスク管理とは
高原 彦二郎
出光興産株式会社に入社。ロンドン、香港副支店長、北京所長、本社課長を歴任。海外現地法人の経営管理、内部統制、経営監査、中東駐在員のクライシスマネジメント、ビジネス・リスクマネジメント等を経験。2005年コンサルビューション株式会社を設立し、海外に進出した日系企業のリスクソリューションを中心にコンサルティングを行っている。中小企業診断士。事業承継士。第三者承継士。人を大切にする経営大学院(EMBA)。
前回のコラム第7回-海外子会社経営リスク管理編(3)では、海外子会社経営管理の枠組みとして日本と欧米の「経営」の言葉の違いも含め、ガバナンスの原点について見てきました。今回は更に日本と欧米のガバナンスの違いを見ながら、日本企業のあるべきコーポレートガバナンスのあり方も見ていきたいと思います。
「コーポレートガバナンスの経営学:加護野忠男他」によるとコーポレートガバナンスには、標準的な姿は存在せず、国によって多様な制度・慣行があるために、単純に述べることはできないと言われています。しかし、欧米に限定した場合にコーポレートガバナンスは、「アングロサクソン型コーポレートガバナンス」と「ライン型コーポレートガバナンス」の2種類に大別することができます(下図を参照)。
(1)「アングロサクソン型コーポレートガバナンス」
「アングロサクソン型コーポレートガバナンス」のガバナンスの目的は、株主利益の最大化にあります。企業は株主の利益最大化のための用具と捉えられ、その目的のために働く経営陣・管理者を株主が流動性のある市場からリクルートし、選任後に間接統治をします。アメリカ、英国がその代表的な国になります。
(2)「ライン型コーポレートガバナンス」
一方、「ライン型コーポレートガバナンス」とよばれる企業統治の典型はドイツにあります。ドイツには、企業それ自体で存在意義を持つ社会制度であるという独立制度観、あるいは企業は労使の共同統治の制度であるという多元的用具観が色濃くあります。従って、株主だけではなく、労使や利害関係者の利益の最大化がコーポレートガバナンスの目的になります。ドイツ、フランス等が「ライン型コーポレートガバナンス」の代表的な国になります。
欧米のコーポレートガバナンスの形態を2つに大別しましたが、双方とも「企業全体の目的に照らして、経営が適切に行われる様に、その最終的な責任者を選任、誘導し、適切な経営が行われているかをチェック、牽制すること」を目的とする点には変わりはありません。
しかし、会社は誰のためのものか、また統治の目的が株主の利益最大化か、労使を含む利害関係者の共同の利益最大化かの点で大きく異なります。また、その目的を遂行する経営者の選任も経営能力を基準に社内・社外に拘らず人材を求めるか、社内人材を中心に選任する傾向が強いかの違いがあります。
アングロサクソン型・ライン型コーポレートガバナンスの特徴
海外事業を成功させるリスク管理とはの他の記事
おすすめ記事
令和8年熊本地震 猛暑の被災地で熱中症を避ける
最大震度7を記録した令和8年熊本地震。熊本県内では400超の避難所が開設され、約9千人が避難している(29日時点)。真夏の避難生活は、熱中症の危険性を確実に高める。しかもこれからは、猛暑・酷暑下での復旧活動が本格化し、多くの人々が被災地で活動する。現地で熱中症をどう防いだらいいか。熱中症と災害医療に詳しい、さいたま赤十字病院高度救命救急センターの席 望医師に対策を聞いた。
2026/07/30
令和8年熊本地震 広がるデマ、どう見分ける?SNSとの向き合い方
28日に発生した最大震度7を記録した熊本地震では、早くも豪華寝台列車「ななつ星」が脱線したなどのデマ情報が広く拡散された。災害のたびに、広くSNSで拡散される情報にどう向き合えばいいか。デジタル空間の情報分析を専門とする Japan Nexus Intelligence の竜口七彩氏に聞いた。
2026/07/29
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/07/28
事例研究で有事に備え、組織の体質改善で形骸化を防ぐ
組織レジリエンスの強化やサイバーセキュリティーの向上、サプライチェーンの強靭化など、危機管理やリスク管理担当者が関与する領域は年々拡大している。変化する社会状況にあわせ、担当者はどのように学び、備え、対応することが求められるのか。森総合研究所代表の森健さんは、自治体と企業で危機管理担当者としての経験を積み、現在はコンサルタントとして、企業や団体の危機管理の支援を手がけている。自身の経験を踏まえ、危機管理の担当者にどうアドバイスしているのか、話を聞いた。
2026/07/27
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方