2025/12/31
防災・危機管理ニュース
高市政権が、外国勢力による情報窃取を阻止するための「スパイ防止法」の検討に着手した。野党側の一部にも前向きな動きがあるものの、政府による監視強化や情報統制を懸念する声は絶えない。日本周辺の厳しい安全保障環境を踏まえた防諜(ぼうちょう)体制の整備と、通信の秘密や言論の自由など憲法上の権利保護をどう両立させるかが、今後の焦点となりそうだ。
スパイ防止法は高市早苗首相の持論。11月26日の党首討論で「速やかに法案を策定する」と表明した。木原稔官房長官も12月25日の記者会見で「外国からの不当な干渉を防止する意義は極めて大きい」と必要性を訴えた。
自民党と日本維新の会は連立政権合意に、関連法の「速やかな成立」を明記した。政府・与党は手始めに、外国の利益を代表して活動する人物に資金源や活動内容の届け出を義務付ける「外国代理人登録法」を視野に入れる。外国勢力の動向を可視化するのが狙いだ。
自民党は1985年に、議員立法でスパイ防止法案を国会に提出した。元陸将補が旧ソ連のスパイに防衛機密を漏えいした「宮永事件」などが背景にある。ただ、同法案は「秘密」対象や処罰行為が広範にわたる上、最高刑が死刑と極めて厳しい内容。言論・報道活動も処罰され得ると批判を浴び、廃案になった。
当時との違いは、野党も法整備の必要性を訴えていることだ。国民民主党や参政党はそれぞれ、インテリジェンス(情報活動)の強化などを盛り込んだ法案を国会に提出。慎重派の公明党が連立政権から離脱したことも、制定の機運を高めることにつながっている。
一方、立憲民主党は「重大な人権侵害を引き起こすリスクがある」(本庄知史政調会長)と拙速な動きをけん制する。
特定秘密保護法や重要経済安保情報保護・活用法で、安保上重要な情報の漏えいを処罰することは既に可能だ。世論の幅広い理解を得るには、人権への配慮と共に、既存法制との違いを明確化することも求められる。木原氏は、検討に当たり「国民の権利に十分配慮すべきことは当然であり、丁寧な説明を行っていく」と強調した。
〔写真説明〕党首討論で答弁する高市早苗首相=2025年11月26日、国会内
(ニュース提供元:時事通信社)

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