「チャイナリスク」の変化と対峙せよ
第101回:分断構造の実態とリスク要因(6)
多田 芳昭
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。領域はDX、セキュリティー管理、個人情報管理、危機管理、バックオフィス運用管理、資材・設備調達改革、人材育成など広範囲。バイアスを排除した情報分析、戦略策定支援、人材開発支援が強み。
2025/12/16
再考・日本の危機管理-いま何が課題か
多田 芳昭
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。領域はDX、セキュリティー管理、個人情報管理、危機管理、バックオフィス運用管理、資材・設備調達改革、人材育成など広範囲。バイアスを排除した情報分析、戦略策定支援、人材開発支援が強み。
チャイナリスクという言葉は、いつ頃からいわれるようになったのだろうか。振り返ると、1980年代半ばには「中国経済脅威論」というかたちで発信されていたように、リスクとしてはかなり以前から周知されていた。
リスクがあるからすべてNGというゼロリスク論は論外で、リスクヘッジしながら一定リスクは受容して、さまざまな活動を行うのが現実社会のあり方であるのは常識である。同時にリスクは周辺環境で変化するので、適時評価して許容できる限界を超えないように低減策を新たに検討しなければならない。その評価は部分最適ではなく全体最適で行うべきだ。
「すべての国が豊かになり、経済の相互依存を高めれば、世界は必ず平和になる」という崇高な理念のもと、中国との経済関係が進展していったのは歴史的事実である。その結果といっていいだろう、中国は経済発展を遂げ、日本のGDPを抜いて世界2位の経済大国になった。当然の結果として、隣国である日本経済の中国依存度は高まっていき、利権構造が深淵化していったのだろう。
そこまで経済の相互依存関係が進展し、果たして平和になったのだろうかという疑問の答えは、すでに国際社会が出している。繰り返し取り上げているが、2023年の米国戦略国際問題研究所(CSIS)で西村経産大臣が行ったスピーチがその現れである。事実として対中緊張、脅威は高まり、経済安全保障のリスクも顕在化してきた。
このリスクは戦争という究極の事態に限らず、これまで中国が国家として取ってきたいわゆる「戦狼外交」のような強硬姿勢が強まる状態も含まれる。「けんか交渉」で対峙された場合、ビジネスにおける基本中の基本である「WinWin」の構造は成立が困難だ。将来的に大きなリスクを抱えることになり、安全が確保された持続可能なビジネス環境とは到底いえない。
もちろんリスクへの対処は、それぞれの企業や組織で考え方が異なるのは当然である。それゆえ、リスクがあるから即ビジネスはNGとまではいえない。だが、だからといってリスクから目を逸らすのは論外である。そこには重い責任がともなうからだ。完全な撤退まではいかなくとも、リスクが顕在化した場合に備えた代替策、ダメージの最小化策は準備しておくべき、従業員らの安全への最大の配慮も必要不可欠だ。
ビジネス面では、十分とは決していえないだろうが、それでも思っている以上に対応は進んでいると感じている。だが、政界とオールドメディアはまったくといっていいほどの状況ではないだろうか。
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