2025/12/20
首都直下地震新たな被害想定
人命救助や被災者支援の要となる自衛隊。膨大な数の負傷者が想定される首都直下地震では、関係省庁・自治体との現場レベルでの調整や、自衛隊内での情報共有が活動のカギを握る。日本周辺の安全保障環境が厳しさを増す中、警戒監視や部隊維持といった防衛警備との両立も欠かせない。
自衛隊は発災直後、東日本大震災の10万人体制を上回る11万人を都心に集結させる。全隊員の半数に当たり、残りは領空侵犯や海外邦人退避といった有事に備える。
活動の障壁となるのが、道路の陥没や倒壊建物のがれきなどによる深刻な交通まひだ。被害が甚大で陸路で近づくのが困難な地域には、ヘリコプターや船舶を活用して隊員を投入する想定だが、気象条件に左右されやすい弱みも抱える。
そのため、陸上で退路や補給路を確保しておかないと「負傷者を搬送できないだけでなく、隊員自身も新たな被災者となりかねない」(統合幕僚監部)。生存率が急激に下がるとされる「災害発生から72時間」を念頭に、警察などと協力し、寸断された道路を迅速に切り開けるかが人命救助の分かれ目となる。
また、負傷者を受け入れるはずの災害拠点病院自体が被害を受け、一部が機能しない可能性もある。東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県には計168の拠点病院があるが、治療しきれない負傷者の広域搬送が不可欠となる。
そのためには自治体や警察、消防、災害派遣医療チーム(DMAT)といった関係機関との現場レベルでの連携が欠かせない。自衛隊は7月、首都直下地震を想定した統合防災演習を行い、被災状況に応じた活動の優先順位や役割分担について東京都などと認識を共有した。担当者は「今後は全ての関係機関と合同演習を行い、実効性を確認することが必要だ」と話している。
一方、自衛隊内の情報共有にも課題が残る。陸海空3自衛隊を一元指揮する統合作戦司令部が3月に設置され、命令系統が明確になった一方、「部隊や各司令部から『情報が十分ではなく遅い』との声が漏れ聞こえてくる」(内倉浩昭統幕長)。隊内の連携は人命に直結するだけに、早急な課題解消が求められる。
〔写真説明〕首都直下地震を想定し、災害派遣医療チーム(DMAT)などとの統合防災演習に臨む自衛隊員ら=7月17日、東京都新宿区
(ニュース提供元:時事通信社)

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