2025/12/23
防災・危機管理ニュース
金融庁の金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ(WG)」は2025年12月22日、サステナビリティ情報に対する第三者保証制度の制度設計を示した報告書案を公表した。2025年3月に策定されたサステナビリティ基準委員会(SSBJ)基準の開示義務化と連動し、東京証券取引所プライム市場上場企業を対象に、時価総額の大きい企業から段階的に第三者保証を義務付ける方針を示した。
報告書案によると、SSBJ基準の適用開始時期は、時価総額3兆円以上の企業が2027年3月期、3兆円未満1兆円以上が2028年3月期、1兆円未満5,000億円以上が2029年3月期とされている。第三者保証は、それぞれのSSBJ基準適用開始期の翌事業年度(翌期)から義務化される。
制度導入当初の2年間は経過措置として保証範囲を限定し、温室効果ガス排出量のScope1・Scope2に加え、ガバナンスおよびリスク管理に関する情報を対象とする「限定的保証」とする。企業負担や実務の成熟度を踏まえ、Scope3を含む保証範囲の拡大や合理的保証への移行については、3年目以降、国際動向などを踏まえて改めて検討するとした。
保証業務の担い手については、監査法人に限定せず、法人としての登録制を導入する方針を明確にした。品質管理体制、十分な人的体制、倫理・独立性の確保などについて、国際サステナビリティ保証基準(ISSA5000)、国際品質マネジメント基準(ISQM1)、国際倫理・独立性基準(IESSA)と整合的な要件を満たすことを登録条件とする。監査法人以外の専門事業者の参入も可能とし、将来的な保証需要の拡大を見据え、多様な保証主体の育成を図る。
登録された保証業務実施者に対する検査・監督は、当面の間、金融庁が直接担う。将来的に自主規制機関の設置を検討する余地は残すものの、制度導入初期は当局主導で品質確保を図る。
また報告書案は、サステナビリティ情報に将来情報や見積り情報、企業の統制が及ばない第三者情報が含まれる点を踏まえ、虚偽記載に関する民事責任のあり方についても整理した。将来情報などを対象に、いわゆるセーフハーバー・ルールの内容や適用要件について、法改正も視野に入れた検討が必要との考えを示している。これは、企業や保証業務実施者が過度な訴訟リスクを恐れて情報開示を萎縮させることを防ぐ狙いがある。
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