2026/01/26
防災・危機管理ニュース
【ロンドン時事】米国の通商政策を巡る不確実性が急速に高まる中、世界の貿易秩序が揺らいでいる。国家安全保障を理由に輸出入管理策を導入する国が増え、世界貿易機関(WTO)が基盤としてきたルールに基づく貿易システムにはほころびが目立つ。こうした不透明感は企業の投資や事業活動を停滞させ、世界経済に悪影響を及ぼしかねない。3月末に予定されるWTO閣僚会議では、実効性ある改革を進められるかが焦点となる。
全会一致を原則とする意思決定手法が足かせとなり、トランプ米大統領1期目に機能不全に陥った紛争解決制度の立て直しや、公平な競争条件の確保といったWTO改革は長年停滞してきた。こうした中、欧州連合(EU)は21日、他国に認めた有利な税率を全ての国に適用する「最恵国待遇(MFN)」原則の見直しに向けた議論を提起した。
地政学的な不確実性の高まりを背景に、貿易環境は一段と厳しさを増している。トランプ氏の再登板後、米国は同盟国を含めて高関税を一方的に通知するなど強硬姿勢を強めた。ただ、保護主義の潮流はそれ以前から広がりを見せており、国家安全保障を名目とした輸出入管理策は各国に拡大。また、中国の日本向けレアアース(希土類)の輸出規制など、貿易政策を経済的圧力の手段として用いる例が増えている。
一方、人工知能(AI)など先進技術の普及により、貿易の姿も変わりつつある。世界大手物流企業の幹部は、今後電子商取引は高い伸びを示す一方、貿易全体は緩やかな成長にとどまるとの見方だ。
「世界貿易は過去80年で最大の混乱に直面している」。WTOのオコンジョイウェアラ事務局長は23日、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で強い危機感を示した。チューリヒ大経済学部のオッサ教授は、「加盟国が(閣僚会議で)改革への明確な意思を示すことが不可欠だ」と指摘。改革の必要性は共有されているとした上で、「具体的な行動に移せるかが試金石になる」と述べた。
〔写真説明〕世界貿易機関(WTO)の看板(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
事例研究で有事に備え、組織の体質改善で形骸化を防ぐ
組織レジリエンスの強化やサイバーセキュリティーの向上、サプライチェーンの強靭化など、危機管理やリスク管理担当者が関与する領域は年々拡大している。変化する社会状況にあわせ、担当者はどのように学び、備え、対応することが求められるのか。森総合研究所代表の森健さんは、自治体と企業で危機管理担当者としての経験を積み、現在はコンサルタントとして、企業や団体の危機管理の支援を手がけている。自身の経験を踏まえ、危機管理の担当者にどうアドバイスしているのか、話を聞いた。
2026/07/27
-
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/07/21
-
-
-
-
-
AIによるメール監査で悪意なき不正リスクを事前に検知
昨今、企業の不祥事が多発している。不正会計や金銭の着服、独占禁止法で禁止される談合やカルテルなどが発覚することで企業の信用が失墜し、業績悪化にいたるケースが多い。企業の不正を防ぐ方法で有効なのが、社内のメールモニタリング(メール監査)だ。国際訴訟・不正調査のパイオニアであるFRONTEO(東京都港区)は、リーガルテック分野で培ったノウハウから自社開発したAIエンジン「KIBIT(キビット)」をコア技術に、メール監査で企業の不正リスクを検知するサービスを提供する。膨大な量の電子データから、どのように不正を発見し、未然に防ぐのか。代表取締役社長の守本正宏氏に話を聞いた。
2026/07/13








※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方