2026/03/03
防災・危機管理ニュース
米国とイスラエルによるイラン攻撃を受け、ホルムズ海峡が事実上、封鎖されたことで、日本の安定的なエネルギー調達に懸念が高まっている。原油輸入の9割超を中東地域に依存する中、同海峡は海上輸送の「生命線」だ。封鎖が長期化すれば、ガソリン価格や電気・ガス料金の高騰を招き、家計に打撃を与え、国内総生産(GDP)を大きく押し下げかねない。
日本の原油輸入は、アラブ首長国連邦(UAE)とサウジアラビア、クウェート、カタールの中東4カ国に93%を依存する。供給途絶リスクに備え、国と民間が石油を備蓄しており、資源エネルギー庁によると、国内需要の計254日分(2025年末時点)を確保。「石油製品の供給に直ちに影響はない」(出光興産)として、当面の供給は可能だ。
ただ、封鎖の長期化に対する警戒は高まっており、原油先物市場では、米国産標準油種のWTIが一時約8カ月ぶりに1バレル=75ドル台に乗せた。
野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、軍事衝突が長期化した場合、原油価格は87ドルまで上昇すると想定。昨年末の暫定税率廃止で1リットル当たり約25円押し下げられて150円台で推移するガソリン価格(全国平均)は、200円を突破し、「暫定税率廃止の効果は消失する」と指摘する。
また、原油に連動して液化天然ガス(LNG)を含めたエネルギー価格全体が高騰すれば、電気代やガス代が上昇。輸送や製造のコスト高を招き、食料品を含めた幅広い品目の値上がりで、家計・企業に重い負担がのしかかる恐れがある。
戦況が一段と悪化し、原油価格が130ドルまで上昇する最悪のケースの場合、第一生命経済研究所の星野卓也主席エコノミストは、日本の実質GDPを1年目に0.58%、2年目に0.96%、それぞれ押し下げると試算する。食品インフレの勢いが落ち着き、実質賃金のプラス転換が見通せる状況になったが、イラン情勢悪化によるエネルギー価格の高騰で「実質賃金のマイナス幅が再拡大する可能性もある」と懸念する。
〔写真説明〕ガソリンスタンド=資料(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
失われた危機意識を取り戻す災害図上訓練で自分ごと化 ミツバ
どのメーカー系列にも属さず、複数の自動車メーカーや1次サプライヤーに四輪と二輪用の電装部品を供給する独立系のサプライヤーであるミツバ(群馬県桐生市、日野貞実代表取締役社長)。近年、過去に考えられた災害対策が、途絶えつつあった。同社では“自分ごと化”で従業員の危機意識を高めるため、災害図上訓練を実施。参加者の意欲が高まり、対策用の新たな要望が集まるなど、確実な手応えを感じている。
2026/05/26
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/05/26
-
-
-
-
-
顧客の安全と安心をAIと人のアシスタンスサービスで追求
JTBグローバルアシスタンス(東京都千代田区)は、渡航先でのけがや荷物の紛失、言語の壁など、海外旅行に関わるトラブルを包括的にサポートしてきた。昨今では地政学リスクの高まりに応じ、自社の危機管理ソリューションを生かした出張者や駐在員の安全確保にも注力している。創業35年を機に、AIと人間、それぞれの長所を組み合わせたハイブリッド型サービスの展開を目指す。混沌(こんとん)とした時代の中、海外旅行に伴うリスクを低下させ、旅行者の安全をどのように確保するのか。鈴木章敬代表取締役社長に話を聞いた。
2026/05/19
-






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方