2026/03/31
ニュープロダクツ
排泄物を焼却処理で灰として処分する新たな発想のトイレが災害時の常識を変えそうだ。
シンデレラ・エコ・グループ(ノルウェー)の販売施工代理店である裕源(神奈川県厚木市)は、軽油を燃料とした焼却式トイレ「Cinderella Travel Diesel(シンデレラトラベルディーゼル)」の取り扱いを2025年から始めた。2023年から販売しているプロパンガス、電気式に次ぐ、新たなモデルで、汚水タンクが不要な仕様から、緊急時に利用しやすい衛生的なトイレとして注目されている。
同製品は、軽油を燃料にトイレ本体内部で排泄物を焼却処理する。利用時は、便座に設置するペーパーシートで排泄物を包み、トイレ本体の焼却室に落とす。焼却処理した灰を専用コンテナに溜め、家庭ごみで処分する。排尿だけでも利用できる。焼却時に発生した排ガスは、プラチナ触媒のコンバーターを通すことで無毒化。臭いも軽減したうえで、専用の排気管を通じて排出する。排泄物の処理能力は、1時間に最大4回が目安になる。使用後に約13分間隔を空けて使用することが推奨される。
災害時には、断水や下水機能の停止により、通常のトイレが使用できなくなる。避難所では簡易トイレが設置されるものの、利用者の集中によって衛生環境が急速に悪化しやすい。特に汚物の適切な処理や保管が追いつかない場合、悪臭や感染症のリスクが高まる。仮設型のトイレについても汲み取りなどの負担は大きい。その点、同トイレは、排泄物を灰にするため、廃棄や汲み取りなどの処分が不要。匂いもほとんどなく、衛生環境が維持されることが期待される。
軽油燃料の車両に備え付けていれば、燃料タンクから直接軽油を使用することもできる。軽油燃料の消費量は、1回の焼却あたり150~250mlほど。なお、利用時に電源の接続が必要になる。本体サイズは、高さ540mm×幅390mm×奥行き590mm。重さ20kg。個人の自宅でも設置可能で、本体価格は80万円(税別)から。また、トイレユニットで販売していないため、設置するスペースが必要になる。同社の施工対応エリアは全国だが、部材の運搬費・人件費含めて別途見積りとなる。注意点としては「過度な使用は、不完全燃焼による悪臭や漏れを引き起こすことにつながるため避けてほしい」(担当者)ということ。消耗品は、使用時に便座に設置するためのペーパーシートや触媒コンバーター、スパークプラグなど。
同シリーズは、シンデレラ・エコ・グループが鉄道会社や建設業などの専門的な分野で提供するほか、レジャー市場やコテージ、キャンピングカーやボートなどにも展開する。
今後は防災用として、全国の工場への販売も視野に入れる。同社担当者は「元々はキャンピングカーに備え付けるオプションとして販売していたが、災害時の用途などでも活用が期待できるため、単体で取り扱うようになった」と話す。
■プレスリリース
防災・危機管理関連の新製品ニュースリリースは以下のメールアドレスにお送りください。risk-t@shinkenpress.co.jp
リスク対策.com 編集部
ニュープロダクツの他の記事
おすすめ記事
-
操作不要の防水板で水害リスクを低減
全国各地で、豪雨災害が頻発している。2026年8月13日には、千葉県内で記録的な大雨が発生し、大きな浸水被害をもたらした。「命を守る行動」が最優先事項ではあるが、建物の浸水被害も防ぎたい。望ましいのは、人も建物も守れる備えだ。防水板や防水扉の設計製造を行う宇根鉄工所(広島県東広島市)では、人手を介さず水の力で起きあがる浮力起伏式防水板を開発している。代表取締役社長の宇根利典さんに、水害リスクに対する備えを聞いた。
2026/09/28
-
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/09/15
-
-
-
-
防災は面白くないと広がらない
地震が起きたとき、スマートフォンに通知された情報を頼りに避難を判断することが多いだろう。緊急地震速報の情報から、いまどのように動くべきかを判断できる、そんな身近な危機管理を習慣づけた1 社が、アールシーソリューション(東京都新宿区)だ。2010 年に提供開始したスマートフォンアプリ「ゆれくるコール」は、緊急地震速報を受信できるアプリとして多くのユーザーが利用している。代表取締役の栗山章さんは、数多くのユーザーに防災の重要性を広めてきた一方で、ビジネスとして成り立たせる難しさにも直面してきたという。これまでのサービス開発の経緯や、防災ビジネスへの価値観を聞いた。
2026/09/09
-
被災施設への再入場判断「戻ってはいけない」では解決しない避難後の問題
大地震が発生し、安全な場所へ避難して一息つくと、人々には「ひとまず危険のピークは過ぎた」という根拠なき安心感が芽生える。そして、さまざまな理由で「避難してきた場所に戻りたい」といった気持ちが生じる。しかし、被害がどの程度なら戻ってよいのかについての明確なルールや事例は、どこを探してもあまり見当たらない。 国には応急危険度判定という仕組みや、施設管理者が建物を緊急点検するための指針などもある。が、これらは避難直後の「戻りたいニーズ」に応える仕組みではない。ここに、避難直後の「再入場」という古くて新しい問題がある
2026/09/09






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方