2026年3月、大阪府池田市にある都市再生機構(UR)緑丘団地で、減災体力測定を実施

体力測定を通して、災害発生時の避難能力を可視化する取り組みがある。

スポーツや健康、防災イベントの企画・運営を行うウィンゲート(東京都板橋区)は、防災訓練と体力測定を同時に行う「減災体力測定」を開発し、全国の自治体・企業向けに展開している。このプログラムで災害発生時に求められる個人の避難能力を測り、平時から評価しておくことで、有事の避難計画策定に役立てることができる。同社はトレーナー派遣や育成を通じ、運動指導に健康改善といった知見を持つ。独自の視点から、個別の改善プログラムの提案も行う。体力と健康の維持にも寄与する取り組みだ。 

同プログラムは、災害発生時の避難能力を5段階で評価する。自力避難の目安となる体力の評価をS級からD級まで分類。5歳から高齢者までが測定対象になる。もっともスコアが高いS級評価が付いた場合、階段40段と徒歩10km歩行が可能な体力水準で、有事の際には他者を救助する役割も担えると判断される。D級は避難支援を必要とする優先避難対象者になる。 

 

ベル 評価 災害対応能力 具体的な避難基準
S級 救助者レベル 地域防災リーダー 階段40段+徒歩10km
A級 自立避難+支援 避難誘導・サポート 階段30階+徒歩8km
B級 自立避難可能 個人避難完遂 階段20階+徒歩5km
C級 条件付き避難 早期避難・支援要請 階段10階+徒歩2km
D級 避難支援必要 優先避難対象者 支援が必要

提供:株式会社ウィンゲート

測定項目は、想定される災害シナリオを乗り越えるために、5項目を設けた。同社は、日本スポーツ協会(JSPO)が公表する、フィジカルリテラシーの評価尺度を参考に「椅子立ち上がり」「片足立ち」「四方向ステップ」を基礎項目に定めた。より災害発生時の動きを意識した共助の観点から「物資搬送」と「低姿勢移動」も加えた。参加のハードルが低い防災イベントとして企画する場合は、基礎3項目のみの簡易的な測定もできる。

 

測定項目 想定される災害のシナリオ 評価する能力
1. 椅子立ち上がり 家具の下からの脱出、階段の昇り降り 脚力・瞬発力
2. 片足立ち 停電時の暗闇や、散乱したがれきの上で体勢を維持 バランス能力
3. 四方向ステップ 障害物を避けながら、素早く方向転換する 敏捷性・認知判断能力
4. 低姿勢移動 煙が充満した空間を、低い姿勢で避難し続ける 全身持久力・協調性
5. 物資搬送 5~10kgの非常用物資を避難所に運ぶ 筋持久力・運搬能力

提供:株式会社ウィンゲート

同社は2026年3月、大阪府池田市にある都市再生機構(UR)緑丘団地で、減災体力測定を実施した。住民や行政関係者など150人が参加し、そのうち住民51人が簡易測定に取り組んだ。測定の結果、60歳以上はバランス能力が低く、転倒リスクがあることを示した。また、70歳以上では要支援者の早期発見にもつながった。災害時のリスクと運動不足を同時に自覚できるプログラムとして、注目が集まっている。 

開発責任者の草野豊勝さんは、東日本大震災での経験をもとに、この減災体力測定プログラムを考案した。高層ビルから非常階段で避難する際、身体能力の重要性を再認識したことがきっかけだという。草野さんは「体力の客観的評価は、災害発生時の避難計画策定にも役立つ。また、防災教育と運動を連動して考えることで、災害への備えを身近に感じてもらいたい」と考えている。 

 

プレスリリース

 

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リスク対策.com 編集部