2026/04/07
防災・危機管理ニュース
電気自動車(EV)などに使われる「パワー半導体」をめぐる業界再編が動きだした。自動車部品大手のデンソーが半導体大手ロームに買収提案したことをきっかけに、ロームと東芝、三菱電機は半導体事業の統合協議を開始。海外勢との競争に打ち勝つには「日の丸連合」として規模拡大が不可欠だが、合従連衡がどう決着するかは見通せない。
「シナジー(相乗効果)が大きい」。デンソーの林新之助社長は3月31日、東京都内で開いた経営計画説明会の席上、ロームに買収提案した理由を説明した。車の電動化・人工知能(AI)活用に向けて半導体事業を強化するデンソーと、車載用に加えて産業機器用にも強いロームの技術と販路を融合すれば、「お客さまに届ける価値が高まる」とする。
日本勢のパワー半導体は世界で一定の存在感を示しているが、複数社が乱立し1社の事業規模が小さく、中国メーカーの台頭にもさらされる。各社とも「一緒にやって中国などに負けないチップを開発すべきだ」(三菱電機の漆間啓社長)と、再編の必要性を感じていたが、近年のEV需要の急減という逆風もあり、交渉は停滞していた。
再編機運を高めたのが、デンソーによるロームの買収提案だ。ロームは「黒船襲来」(東克己社長)とばかり、資本関係もある東芝との協議を加速。そこに三菱電機が加わった。事業統合が実現すれば、世界シェアは首位の独インフィニオン・テクノロジーズに次ぐ2位に躍り出る。
ロームは社外取締役らで構成する特別委員会を設置し、デンソーの提案を検討している。トヨタ自動車グループのデンソー傘下に入れば、車載用を中心に安定した成長が期待できる。東芝・三菱電機と組めば、一定の独立性を保ちつつ、今後需要が伸びるAI向けを含めた製品構成で世界と戦える可能性がある。
ローム買収には1兆円以上を要するとみられるが、デンソーは「戦略投資と自社株買いで2兆~4兆円の余力がある」(松井靖副社長)と説明。豊富な資金力を強調するが、巨大なトヨタグループに飲み込まれることに、ローム側の拒否感は強い。
一方、3社連合の実現には、利害調整が容易ではない。ロームの東社長は、NECと日立製作所の半導体部門を統合してできたエルピーダメモリの破綻などを挙げ、「同じ轍(てつ)は踏まない。『船頭多くして(船山に上る)』ではダメだ」と指摘。夏をめどにまずは東芝との統合合意にこぎ着けたい考えだ。
〔写真説明〕経営計画について説明する自動車部品大手デンソーの林新之助社長=3月31日、東京都中央区
(ニュース提供元:時事通信社)

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