2026/04/13
防災・危機管理ニュース
(出典:東京大学プレスリリース「スタートアップエコシステムにおけるハラスメント調査を実施」より)
4月9日、東京大学など3大学の研究グループがスタートアップ企業のハラスメント調査に関する論文を発表。3割超が、職場内ではなく対外的なハラスメントを経験するという被害の実態が初めて明らかになった。
(出典:東京大学プレスリリース「スタートアップエコシステムにおけるハラスメント調査を実施」より)
調査は経済産業省の協力のもと、2015年以降に設立されたスタートアップ1万3264社を対象に実施。事業設立後の起業家467人が回答した。
32%が何らかのハラスメントを受けたと答え、内訳は威圧的な叱責や不合理な要求などのパワーハラスメントが31%だった。セクシャル・ハラスメントは全体の6%であったが、性別で見ると女性起業家の23%(男性は3%)に被害が集中していた。
加害者は27%の取引先が最も多く、25%が投資会社であるベンチャーキャピタル(VC)が続いた。事業展開のアドバイスなどを行うメンターが11%を占めた。
ハラスメントの影響は心理的苦痛という個人にとどまらず、企業間の提携や協業機会の喪失、戦略の転換といった事業そのものに影響を及ぼしている。さらに、調査よりステークホルダーが多様なほど、セクハラの被害が少ない傾向にあり、また、ハラスメント経験者がその後にネットワーキングイベントの参加や業界活動などを避けていた。
(出典:東京大学プレスリリース「スタートアップエコシステムにおけるハラスメント調査を実施」より)
調査結果より、研究グループは、ハラスメントを受けやすくなる悪循環を提示。ハラスメントを受けてステークホルダーとのつながりを構築を避けると、ネットワークが狭まる。これが一様なステークホルダー依存を強め、新たなハラスメントリスクを高める負の連鎖が生じる。
スタートアップのハラスメントについて、職場のように企業が報告する窓口があるわけではない。研究グループは対策に①多様なステークホルダーとのネットワーク構築支援、②相談・可視化機能の強化、③関係者ごとの行動規範の策定と運用を提言した。
研究グループの東京大学大学院・山口慎太郎教授は、スタートアップ企業がハラスメントを避けるために「業界内でいろんな人とつながりを持つこと、特にセクハラ防止には有効」と説明。ハラスメントの加害者となりうる企業には、立場の弱い中小企業やスタートアップに対しての行動規範やガイドライン整備などの重要性をを語った。
「日本経済が発展するためにスタートアップが果たす役割は大きい。スタートアップ企業が正当に扱われるための仕組みを、公的機関を含め設ける必要がある」(山口教授)
論文:Harassment and Power Asymmetries in Entrepreneurial Ecosystems(東京大学経済学研究科附属政策評価研究教育センター ディスカッション ペーパー)
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