2026/05/17
防災・危機管理ニュース
大西洋航行中のクルーズ船で3人が死亡するなどした「ハンタウイルス」の集団感染疑い。同ウイルスの致死率は最大50%と非常に高いが、感染力は限定的だ。日本国内には媒介するげっ歯類は生息しておらず、政府は「直ちに大きな影響は及ばない」と冷静な対応を訴えている。
世界保健機関(WHO)などによると、同ウイルスは一部のネズミなどが保有し、排せつ物の粉じんを吸入したり、かまれたりすることで、人もまれに感染する。アジアや欧州、米大陸でみられ、感染者は年1万~10万人と推定される。
ワクチンや治療薬はなく、対症療法しかない。対策は、げっ歯類との接触を避けること。環境を清潔に保ち、食品の安全な保管が重要だ。マスクも有効とされる。
症状は分布地域で異なる。米大陸のウイルスでは発熱やせきなどが表れ、重篤な呼吸器疾患を引き起こす。致死率は10~50%。ただ、日本国内には媒介種は存在せず、患者の確認もない。
一方、この中でアルゼンチンやチリに存在する「アンデスウイルス」種は、人から人に感染する。クルーズ船では、この種が検出された。
国立健康危機管理研究機構(JIHS)の斎藤智也・感染症危機管理部長によると、同種は飛沫(ひまつ)感染するが、近距離や長時間の接触に限られる。潜伏期間は1~7週間。感染力は症状が出る前はほぼなく、発症直後が強いといい、「コロナやインフルエンザと比べると断然低い」と説明した。
感染者らの管理で拡大防止できるとし、「クルーズ船を起点に世界で発生している状況ではない。国内で感染したり、拡大したりする可能性は薄い」と分析した。
上野賢一郎厚生労働相は12日の閣議後記者会見で、関係国は適切に対応しており、WHOは公衆衛生上のリスクは低いと評価したと指摘。「わが国に直ちに大きな影響は及ばないと考えている」と述べた。
〔写真説明〕乗客らがハンタウイルスに集団感染した疑いのあるクルーズ船「MVホンディウス」=10日(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

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