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環境会計(environmental accounting)という言葉は、急速に普及してきた用語ですが、とりわけ環境省が「環境会計システムの確立に向けて(2000年報告)」を発表したのを機会に、多くの企業が環境報告書のなかで開示するようになりました。現時点において、環境会計はどうあるべきか、どのように定義するかは、国際的に合意された定説はなく、国や人により、その定義や使い方が異なっているのが現状です。環境会計の導入は、企業や社会にとって必要不可欠になっています。それは、地球全体としての環境問題の意識が高まり、環境規制が一段と強化され、一般市民の企業に対する環境保全対策確立の要請が、増大したからです。第31回では、環境会計の意義と領域を解説いたします。

(1) 環境会計の意義と機能

環境会計は、新しい分野で、環境という非常に複合的な領域に対して、多くの分野の専門家が関わっているため、分野ごとの意味に使われる傾向にあります。そのため、国や人により、その定義や使い方が異なっています。会計の本質は共通でも、会計の主体・対象・方法の相違により、環境会計はさまざまな意味に変容します。

このような状況で、2005年2月に環境省は、「環境会計ガイドライン(2005年版)」を策定しました。このガイドラインは、環境会計を、「企業等が持続可能な発展を目指して、社会との良好な関係を保ちつつ、環境保全への取組みを効率的、効果的に推進することを目的として、事業活動における環境保全のためのコストとその活動により得られた効果を認識し、可能な限り定量的(貨幣単位または物量単位)に測定し伝達するしくみである」と定義しており、現在も採用されています。

環境会計は、地球規模での環境問題の意識が高まり、環境保全対策確立の要請が増大したため、企業は、環境対策の内容を環境会計情報として開示することが、必要不可欠となりました。環境会計を導入した場合、企業の内部と外部のそれぞれに及ぼす機能は大きいです。

まず、「企業内部に及ぼす機能」とは、環境保全活動が事業活動に与える影響を把握し、環境保全対策に要したコストとその効果を評価して環境保全対策をより効率的かつ効果的なものにすることです。すなわち、経営管理者には、意思決定の材料となること、部門関係者には、環境保全のコストと効果を決定する際の道具となること、従業員に対しては、自社の環境会計全体の取り組み姿勢を知らせて、働く意欲と自社愛を深めるなど、企業内部に及ぼす機能は大きいです。

環境会計を企業の内部管理に役立てる例には、廃棄物処理費や再資源化経費を圧縮するためにその収支を把握する例、環境保全のプロジェクトごとに収支を算出し投資判断に役立てる例、訴訟リスクを回避するための費用とそれを回避できた効果を対応させてリスクマネジメントに役立てる例などがあります。

次に、「企業外部に及ぼす機能」とは、環境会計情報を、環境報告書を通じて環境保全への取り組み姿勢や具体的な対応策と合わせて公表することにより、企業の環境保全への取り組みをステークホルダーに伝達できることです。すなわち、企業が、環境会計を公表するメリットには、①「企業イメージを高める機能」と、②「社会とのコミュニケーションを図る」機能があります。

まず、①「企業イメージを高める機能」は、環境報告書に環境会計を記載することで、企業評価の格付、株価、金融機関からの融資に直接影響するだけでなく、環境対策の度合いで銘柄を選ぶ投資信託「エコファンド」にも多大な影響を与えます。企業は、ステークホルダーに企業イメージを高めるためにも、環境会計の情報は、重要な機能があります。

②「社会とのコミュニケーションを図る機能」とは、企業が、消費者、地域住民、投資家、取引先、非政府組織、行政、一般市民などのステークホルダーとの間に環境コミュニケーションを通じ、企業の環境経営の理解と協力を促し、本社や工場の事務所で、環境保全の取り組みをさらに活発化させるのに役立つものです。

そこで、「どのような情報を提供すべきなのか」が重要になります。企業内部者には、経営の意思決定に役立つ内容であり、企業外部者には、投資や取引などの意思決定に役立つ内容であることが必要です。基本的には、環境に関する非貨幣情報(記述情報を含む)と貨幣情報の会計情報を環境保全のコストと効果の対比によって、貨幣単位と物量単位で計算表示して報告します。