災害時の在宅避難を想定する人が増える一方で、それを支えるトイレ対策は十分に進んでいない実態が明らかになった。NPO法人日本トイレ研究所が全国47都道府県の4700人を対象に実施した「災害時トイレに関する意識調査」によると、大地震で停電・断水した場合の避難先として「自宅」を選んだ人は74.7%に達した。しかし、自宅に災害用トイレ(携帯トイレ・簡易トイレ)を備蓄している人は20.6%にとどまり、在宅避難の実態と備えの間に大きなギャップがあることが浮き彫りになった。

 

災害時に自宅生活で最も困ることとして挙げられたのは「水洗トイレが使えない」で62.6%。飲料水不足(39.4%)や入浴できないこと(37.4%)を大きく上回り、トイレ問題への不安が際立った。一方で、地震により排水管が損傷している場合、水洗トイレを使用すると汚水が逆流・あふれる危険性があることを「知らない」と答えた人は57.3%に上り、正しい知識の普及も課題となっている。

さらに、備蓄している人にも課題がある。災害用トイレの備蓄量は1人当たり「1~5回分」が24.8%、「6~10回分」が22.0%で、内閣府などが推奨する「最低3日分(1日5回程度)」には及ばないケースが多い。また、「購入したまま確認していない」と答えた人が59.9%に達し、使い方を確認した人は24.2%にとどまった。備蓄していても、いざという時に十分活用できる状態とは言い難い。

調査では、「なぜ備蓄しないのか」という理由も明らかになった。「特に理由はない」が28.9%で最多だったが、「どのくらい備蓄すればよいかわからない」(18.9%)、「どの製品を買えばよいかわからない」(18.8%)も上位を占め、情報不足が備蓄を妨げる大きな要因となっている。また、適切な備蓄量について「わからない」と回答した人も42.3%に達した。

都道府県別では、災害用トイレの備蓄率は東京都(35%)、神奈川県(34%)、愛知県・大分県(ともに32%)、静岡県・大阪府(ともに31%)が高かった。一方、全国平均は20.6%であり、地域差も見られた。