2026/06/29
防災・危機管理ニュース
災害時の在宅避難を想定する人が増える一方で、それを支えるトイレ対策は十分に進んでいない実態が明らかになった。NPO法人日本トイレ研究所が全国47都道府県の4700人を対象に実施した「災害時トイレに関する意識調査」によると、大地震で停電・断水した場合の避難先として「自宅」を選んだ人は74.7%に達した。しかし、自宅に災害用トイレ(携帯トイレ・簡易トイレ)を備蓄している人は20.6%にとどまり、在宅避難の実態と備えの間に大きなギャップがあることが浮き彫りになった。
災害時に自宅生活で最も困ることとして挙げられたのは「水洗トイレが使えない」で62.6%。飲料水不足(39.4%)や入浴できないこと(37.4%)を大きく上回り、トイレ問題への不安が際立った。一方で、地震により排水管が損傷している場合、水洗トイレを使用すると汚水が逆流・あふれる危険性があることを「知らない」と答えた人は57.3%に上り、正しい知識の普及も課題となっている。
さらに、備蓄している人にも課題がある。災害用トイレの備蓄量は1人当たり「1~5回分」が24.8%、「6~10回分」が22.0%で、内閣府などが推奨する「最低3日分(1日5回程度)」には及ばないケースが多い。また、「購入したまま確認していない」と答えた人が59.9%に達し、使い方を確認した人は24.2%にとどまった。備蓄していても、いざという時に十分活用できる状態とは言い難い。
調査では、「なぜ備蓄しないのか」という理由も明らかになった。「特に理由はない」が28.9%で最多だったが、「どのくらい備蓄すればよいかわからない」(18.9%)、「どの製品を買えばよいかわからない」(18.8%)も上位を占め、情報不足が備蓄を妨げる大きな要因となっている。また、適切な備蓄量について「わからない」と回答した人も42.3%に達した。
都道府県別では、災害用トイレの備蓄率は東京都(35%)、神奈川県(34%)、愛知県・大分県(ともに32%)、静岡県・大阪府(ともに31%)が高かった。一方、全国平均は20.6%であり、地域差も見られた。
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/09/15
-
-
-
-
防災は面白くないと広がらない
地震が起きたとき、スマートフォンに通知された情報を頼りに避難を判断することが多いだろう。緊急地震速報の情報から、いまどのように動くべきかを判断できる、そんな身近な危機管理を習慣づけた1 社が、アールシーソリューション(東京都新宿区)だ。2010 年に提供開始したスマートフォンアプリ「ゆれくるコール」は、緊急地震速報を受信できるアプリとして多くのユーザーが利用している。代表取締役の栗山章さんは、数多くのユーザーに防災の重要性を広めてきた一方で、ビジネスとして成り立たせる難しさにも直面してきたという。これまでのサービス開発の経緯や、防災ビジネスへの価値観を聞いた。
2026/09/09
-
被災施設への再入場判断「戻ってはいけない」では解決しない避難後の問題
大地震が発生し、安全な場所へ避難して一息つくと、人々には「ひとまず危険のピークは過ぎた」という根拠なき安心感が芽生える。そして、さまざまな理由で「避難してきた場所に戻りたい」といった気持ちが生じる。しかし、被害がどの程度なら戻ってよいのかについての明確なルールや事例は、どこを探してもあまり見当たらない。 国には応急危険度判定という仕組みや、施設管理者が建物を緊急点検するための指針などもある。が、これらは避難直後の「戻りたいニーズ」に応える仕組みではない。ここに、避難直後の「再入場」という古くて新しい問題がある
2026/09/09
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/09/07






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方