2026/08/12
防災・危機管理ニュース
最大震度7を観測した熊本地震は、夏休みシーズン真っただ中の観光業に大きな打撃を与えている。熊本県によると、宿泊施設の建物や設備、宿泊キャンセルなどによる被害は計約60億円に上る。比較的被災程度の少ない地域にも影響は広がっており、関係者からは「お先真っ暗だ」との悲鳴が上がる。
県は11日、宿泊施設の建物や設備などで約40.4億円の被害が確認されたと発表。ほかに6日までの宿泊キャンセルは延べ約14万6000人、被害額は計約20.6億円に上る。阿蘇、天草地域は比較的被害が少なかったのに、キャンセルの6割が集中しており、木村敬知事は「風評被害はいけない。県内でも被災していない地域はある」と強調する。
上天草市の旅館「なかしま荘」では秋ごろまでの予約が軒並みキャンセルに。コロナ禍で奪われた体力が戻り切らない中、昨年8月の記録的豪雨での浸水被害や昨今の物価高に苦しんできたというおかみの中島加代美さん(58)は「お先真っ暗。自分を鼓舞してきたが、ここまで災難が続くと…」とうろたえる。
南阿蘇村のレジャー施設「阿蘇ファームランド」では来場者数が例年の半分ほどに減少。敷地内の宿泊施設でも今月10日までに約4800人分のキャンセルがあり、売り上げが約1億円減った。同社営業部の東正和統括部長(56)は「8月は書き入れ時だが予約は減る一方だ」と肩を落とす。
阿蘇市の観光名所・草千里にある「阿蘇火山博物館」でも地震後1週間の来館者数が通常の約3分の1に落ち込み、修学旅行などの団体客を中心に約400人分のキャンセルが出た。2週間がたち、徐々ににぎわいを取り戻しつつあるが、余震を心配する人も少なくないという。同館は通常通り営業しているとSNSで発信し続けており、豊村克則学芸員(40)は「早く元の状況に戻ってほしい」と訴える。
熊本市北区の旅館「植木温泉 旅館平山」では9月の大型連休を含め年内のキャンセルが相次いだほか、宴会需要も大幅に減った。女湯のタイルがずれるなどの被害があったが営業に支障はなく、避難者を受け入れるなどしている。10年前の地震でも多くの復旧関係者が温泉で英気を養ったといい、おかみの平山愛さん(51)は「疲れたらここで一休みしてほしい。自然から良いお湯をいただく旅館としての誇りだ」と話した。
〔写真説明〕地震の影響で来場者数が減り、空車が目立つ「阿蘇ファームランド」の駐車場=11日、熊本県南阿蘇村
〔写真説明〕地震の影響で宿泊者が減った「植木温泉 旅館平山」の温泉で体を休める男性ら=11日、熊本市北区
〔写真説明〕来館者数が減るなどの打撃を受けた「阿蘇火山博物館」がある観光名所・草千里=11日、熊本県阿蘇市
(ニュース提供元:時事通信社)



防災・危機管理ニュースの他の記事
- 迫る72時間、捜索急ぐ=死者265人、多数が不明―コロンビア地震
- 手術中の激震、過酷な救命活動=八代市の熊本総合病院「できること最大限やった」―熊本地震
- 観光業で被害60億円、夏休み直撃=宿泊キャンセル「お先真っ暗」―熊本地震
- 政府調査委、熊本地震「活動は依然活発」=氷川町で横ずれ2メートル
- 機長、事故後検査で大麻陽性=24人負傷の旅客機急降下―インド
おすすめ記事
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/08/05
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/08/04
-
-
-
-
令和8年熊本地震 猛暑の被災地で熱中症を避ける
最大震度7を記録した令和8年熊本地震。熊本県内では400超の避難所が開設され、約9千人が避難している(29日時点)。真夏の避難生活は、熱中症の危険性を確実に高める。しかもこれからは、猛暑・酷暑下での復旧活動が本格化し、多くの人々が被災地で活動する。現地で熱中症をどう防いだらいいか。熱中症と災害医療に詳しい、さいたま赤十字病院高度救命救急センターの席 望医師に対策を聞いた。
2026/07/30
-
令和8年熊本地震 広がるデマ、どう見分ける?SNSとの向き合い方
28日に発生した最大震度7を記録した熊本地震では、早くも豪華寝台列車「ななつ星」が脱線したなどのデマ情報が広く拡散された。災害のたびに、広くSNSで拡散される情報にどう向き合えばいいか。デジタル空間の情報分析を専門とする Japan Nexus Intelligence の竜口七彩氏に聞いた。
2026/07/29
-
-
事例研究で有事に備え、組織の体質改善で形骸化を防ぐ
組織レジリエンスの強化やサイバーセキュリティーの向上、サプライチェーンの強靭化など、危機管理やリスク管理担当者が関与する領域は年々拡大している。変化する社会状況にあわせ、担当者はどのように学び、備え、対応することが求められるのか。森総合研究所代表の森健さんは、自治体と企業で危機管理担当者としての経験を積み、現在はコンサルタントとして、企業や団体の危機管理の支援を手がけている。自身の経験を踏まえ、危機管理の担当者にどうアドバイスしているのか、話を聞いた。
2026/07/27
-






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方