取材に答える鍵屋氏

熊本地震は、最大震度7の発災から1週間が過ぎた。現地の被災地では、かつてないほどの猛暑が被災者らを襲い、続いた停電や断水などが、とりわけ避難した高齢者らの身体をむしばんでいっている。今後、浮上してくる最大の懸念は、避難生活などが原因で亡くなる災害関連死だ。普段、福祉施設のBCPや福祉避難所の研修などに取り組む「福祉防災コミュニティ協会」(東京都千代田区)では7月下旬から8月初旬にかけて被災地に先遣隊を派遣。リアルタイムで現地の情報を入手して対応を取ってきた。同協会の代表理事の鍵屋一氏に被災地の現状や、これからの懸念などを聞いた。

 

福祉防災コミュニティ協会では7月29日から31日かけて、先遣隊として会員3人が現地入り。8月2日まで滞在して活動を進めた。

会員らは被災地の福祉施設を回ったり、市町村の避難所を訪問したりして現場のニーズ調査や、他組織、団体などとの調整に取り組んだという。例えば、避難所などで女性の衛生用品について取り扱いやすいように女性が管理するよう徹底させたり、トイレが使用しにくい場合には、支援団体につないで改善の協力を求めたりする調整などを進めてきた。

先遣隊からは、避難所の環境がまだ厳しいうえに、福祉施設などでも、普段の仕事ができない状況が続いていると報告を受けてきたという。

各地で続く断水、不衛生なトイレ問題も

現状で、被災者を苦しめているのは、猛暑のつらさを加重させる停電や断水が続いていることだ。

熱中症のリスクが高まる一方で、断水によりトイレも不衛生な状態になりがちだ。水が流せないために、悪臭がひどい状態の場所も散見されたが、なかなか報道などによって公にされにくいという。

そういう事態が続くと、トイレに行きたがらない避難者が増えていき、水や食事を控えるようになるため、体力の低下が著しく進行してしまうリスクも高まる。

さらに避難所などで床に雑魚寝することで、感染症にかかりやすくなるという。

停電は復旧へと向かったが、断水については深刻な状態が続く。地域によって異なるものの、最悪の場合、数カ月は続く想定もあり、プールの水などをろ過して、飲料水以外の洗濯などの生活用水として使ってもらう動きも始まっている。

鍵屋氏は「これからが、皆が、気力も体力も弱まってくる時期になる。そこから正念場になり、本番だ」と気を引き締める。懸念しているのが、災害関連死の増加だ。

今回の震災では、すでに車中泊をしていた高齢の女性がガソリンが切れてエアコンが停止した車内で亡くなったケースが確認されている。関連死の可能性があるとみられている。