2011年の東京電力福島第1原発事故で近畿地方などに避難した79世帯221人が、国と東電に損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁の松本展幸裁判長は2日、東電に対し、53世帯103人に計約9000万円を支払うよう命じた。国の責任は認めなかった。
 国の責任は22年の最高裁判決を踏まえて否定し、国が規制権限を行使したとしても「事故が発生した可能性が相当ある」と指摘した。東電については、過失の有無にかかわらず事故の賠償責任を負うとする原子力損害賠償法に基づき認定。避難指示区域からの避難者や自主避難者ら53世帯への賠償を認め、うち1世帯は宮城県亘理町からの避難者だった。
 福島県郡山市から大阪市に子どもと避難した原告の森松明希子さんは記者会見で、「何もしなかった国の責任を否定した最高裁判決を踏襲し、司法の自殺に近い」と批判した。
 原子力規制委員会は「事故の反省と教訓から策定した新規制基準への適合性審査を厳格に進めていく」とし、東京電力ホールディングスは「判決内容を精査し、真摯(しんし)に対応していく」とコメントした。 
〔写真説明〕原発避難者訴訟の判決言い渡し後、「国の責任を認めず」と書かれた紙を掲げる原告側弁護士=2日午前、大阪市北区

(ニュース提供元:時事通信社)