1 日頃の福祉の仕事に災害への備えを組み込む
福祉と防災の連携、地域福祉計画と地域福祉支援計画への防災に関する事項の追加、災害時に福祉支援を行う人の登録、派遣要請、研修などを定めた改正社会福祉法が2026年6月に公布された。災害が起きても、高齢者や障がいのある人などが、必要な介護や生活支援を受け続けられるようにするための準備を、日頃の福祉行政の仕事として進めることが、今回の法改正の重要な意味だ。これらに関係する規定は、2027年4月1日の施行に向けて準備する必要がある。
個別避難計画や災害ケースマネジメントなど、すべての業務が今回初めて義務になったわけではない。大切なのは、福祉担当部署が防災担当部署と協力し、保健医療、住宅、地域活動などの関係者とともに、既存の取組を実際に役立つものにすることだ。
熊本地震の現場では、福祉施設の建物被害だけでなく、停電や断水、職員自身の被災、食事や衛生用品の不足が、サービスの継続を難しくしている。時間がたつほど職員の疲労が積み重なり、小さな事業所ほど支援を続けることが難しくなる。自治体には、被災した人の生活を支える福祉サービスが途切れないよう、人や物資を確保し、関係者をつなぐ仕事が求められる。
以下では、今回の地震の経験を踏まえたうえで、都道府県と市町村が取り組むべき仕事と、そのための予算を整理する。予算は、災害が起きる前から毎年度確保するものと、災害が起きた後に必要となるものに分けて考えたい。
2 担当者を決めて関係者が協力できる体制をつくる
市町村は、地域福祉計画に、災害への備えと対応を具体的に書き込む。個別避難計画、福祉避難所、自宅で避難生活を送る人への支援、介護などの継続、生活再建支援について、誰が担当し、誰と協力し、いつ動き始めるかを決める。地域防災計画や、自治体が重要な業務を続けるための計画とも、役割が食い違わないようにしなければならない。
都道府県は、市町村の取組を支える地域福祉支援計画に、市町村を越えた応援職員の配置、避難先の確保、物資供給などを位置付ける。職員や専門職が少ない市町村には、合同研修や専門家派遣、共通の記録様式などを提供する。
市町村には福祉と防災をつなぐ担当者を、都道府県には広域の調整を担う担当者を置く。兼務でもよいが、担当業務と、それに充てる勤務時間を明確にする必要がある。行政、社協、福祉事業者、医療関係者、住民団体などが、平時から顔の見える関係をつくり、訓練する機会を設けたい。
【平時から確保する予算】
担当職員の人件費、計画の見直しに必要な調査費、住民や当事者との意見交換、連携会議、協定の調整、合同訓練の費用が、これに相当する。計画書を作る費用だけでなく、関係者のつながりを維持する毎年度の活動費が必要となる。
【災害時に必要な予算】
調整業務を担う職員の増員や時間外勤務、応援職員の受入れ、活動拠点、通信手段の確保などの費用がある。
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方