災害時の福祉サービス提供はボランティア頼りではなく制度的支援が不可欠(写真:Adobe stock)

社会保障制度に災害時の対応を組み込む

過去の災害では、福祉的支援が必要な高齢者、障がい者、子ども等について、多くの福祉関係者がボランティアとして活動してきた。しかし、大災害ともなると現地の福祉関係者も被災して必要な福祉サービスが提供できず、関連死さえ生じる状況に陥る。災害時であっても福祉的支援が必要な人に必要な支援を届けるためには、ボランティア頼りでなく、制度的な支えが不可欠だ。

災害時の救助に「福祉サービス」が位置付けられた(写真:Adobe stock)

2025年度、災害救助法、災害基本法等の改正があり、救助の種類に「福祉サービスの提供」が新たに位置付けられた。そして厚生労働省の社会保障審議会福祉部会報告書(令和7年12月18日)において「災害に備えた福祉的支援体制について」が記載された。

報告書には「平時からの連携体制の構築」「DWAT(災害派遣福祉チーム)の平時からの体制づくり・研修等」の2項目が示されている。これについて読み解いていきたい。

平時からの連携体制の構築

平時からの連携について、報告書では現状と課題を次のように総括する。

災害時の福祉的支援が法制化されたが、安定的な日常生活への移行、災害関連死の抑制等を目的として災害時の福祉的支援を充実させていくためには、災害時に適切な対応をとることができるよう、平時から災害時を見据えた福祉的支援の体制づくりが重要である。

災害時の福祉支援の主な目的として、生活再建および災害関連死の抑制を例示している。防災の目的が人命を守ることであれば、災害関連死の防止が第一に重要である。また、被災者の尊厳を守るためには、一刻も早く生活再建の道筋をつくり、実現化に向けて歩み始めることである。

福祉支援体制の整備は災害関連死を防ぐうえで最重要(写真:Adobe stock)

しかしながら、災害時には高齢者、障がい者、子ども、外国人、慢性疾患を抱える人など、多様な背景をもつ人々がそれぞれ異なる困難に直面する。避難所、在宅、車中泊、みなし仮設など生活環境も多様であり、時間の経過とともにニーズも変化する。そのため、医療、保健、福祉、教育、住宅、地域コミュニティ、行政など、分野領域を超えた連携協力が不可欠である。

ところが、多くの自治体では包括的支援体制の整備や、平時からの連携は必ずしも十分とはいえず、発災時に即応できる人材の不足、共通言語の欠如、役割分担の不明確さなどが課題として指摘されている。

そこで、平時から災害時を見据えた福祉的支援の体制を整備しておくことが重要になる。災害発生後に急ごしらえで体制を整備しても、迅速で十分な被災者支援にはとうてい間に合わない。