個人情報の漏えい時の対応【番外編】
慰謝料としての賠償金・見舞金の目安・相場
山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
2026/11/04
弁護士による法制度解説
山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
近時、個人情報の大規模な漏えいのニュースが立て続けに報じられており、我々はこのような状況に慣れつつあります。個人情報の大規模な漏えいが発生したと報道されても、さほど驚かないようになってしまっているのではないでしょうか。
個人情報の大規模な漏えいが立て続けに発生している背景にはAIの悪用があるといわれていますので、残念ながら、当面はこういった事態が続くのではないかと思われます。
個人情報が漏えいしてしまった場合において企業に求められる対応については、「個人情報の漏えい時の対応【前編】【後編】」とでお伝えしました。
その中には含まれていませんが、個人情報が漏えいした場合においては、企業が本人に慰謝料として賠償金や見舞金を支払うということがあります。そして、その金額を巡っては、低廉に過ぎるのではないかなどという意見や感想が散見されるところです。
そこで、今回は、個人情報の漏えい時の対応【番外編】として、個人情報漏えい時の慰謝料としての賠償金や見舞金の目安や相場について、先例をご紹介しながら、考えてみたいと思います。
個人情報が漏えいした場合における損害賠償請求訴訟の我が国におけるリーディングケースは、最高裁判決平成15年9月12日・民集57巻8号973頁になります。ちなみに、同じ年の5月23日に個人情報保護法が成立しています。
この事案は、外国の要人による講演会を主催した大学が、参加申込者である学生の学籍番号、氏名、住所及び電話番号が記載された名簿について、警察の求めに応じて、当該学生らの同意がないまま、警察に同名簿の写しを(他の名簿とともに)提供したケースです。それに対して、プライバシーの侵害に該当するとして損害賠償請求訴訟が起こされました。
現在では想像し難いことですが、上記訴訟では、そもそも、参加申込者である学生の氏名、住所等の個人情報が法的保護の対象になるか否かが争点のひとつとなりました。これに対しては、次のように判示され、個人情報がプライバシーとの関係で法的保護に値するものであることが確認されました。
その上で、大学が学生に無断で個人情報を警察に提供したことについては、次のように判示され、不法行為に該当する、つまり、不法行為を理由とする損害賠償責任を負い得ることが示されました。
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