2011/09/25
誌面情報 vol27
この10年で世界の防災は変わった
災害に負けない条件
災害は、地震や台風、あるいは洪水など自然によってのみもたらされるものではないことを知らしめたのが9.11 だった。この10 年、世界

ではさまざまな天災や人災が発生した。2002 年~ 03 年にかけ、中国、香港を中心に700 人を超える死者を出した重症急性呼吸器症候群(SARS)。災害による被害規模の感覚を鈍らせるほど多くの犠牲を生んだ04 年のスマトラ沖大地震・インド洋津波。05 年にはロンドンで同時爆破テロが発生し、アメリカではハリケーンカトリーナが猛威を襲い、先進国の安全神話はまたも崩れた。そして、08 年にはミャンマーに多大な被害をもたらしたサイクロンナルギスに続き、中国で四川大震災が発生。09 年にはまだ記憶に新しい新型インフルエンザが世界中で流行。そして、その後も、ハイチ、チリ、ニュージーランドで大地震が発生するほか、人的災害としては、アメリカの高速道路の橋崩壊や、中国上海での大規模なマンション火災、さらには今年7月の中国の新幹線事故など大規模な災害、事故が後を絶たない。
下の図は、ハンガリーに本部を持つRSOE(National Associationof Radio Distress)が運営しているサイトで、現在世界で起きている
様々な災害や事故を地図上に示している。火山活動、爆発事故、自動車事故、森林火災、地震、疫病、バイオハザードなど、あらゆる脅威を対象にしているのが特徴だ。これらのあらゆる脅威に負けないことが、今、国、政府、地方、民間組織のすべてに求められている。
そのためには2つのすべきことがある。1つは、現時点でもっとも自国にとって、あるいは自組織にとって大きな影響を与えるだろうリスク
に対し、被害を軽減する措置を講じること。
もう1つは、仮に想定をしていた脅威とはまったく違う災害や事故に見舞われたとき、あるいは、想定していた災害でもそれを大幅に上回る影響を受けたとき、柔軟に対応できるだけの回復力(レジリエンス)を持つことだ。
下の図は、世界経済フォーラムがまとめた今後10 年間における、脅威の予測を示したものだ。横軸は発生の可能性の高さ、縦軸は発生した際の影響の大きさを表している。世界全体で見れば、サイクロンや洪水、気候変動、財政危機などへの対策が急務と言える。ちなみに地震とテロリズムはほぼ同じ場所にある。
9.11 以降の世界の危機管理への取り組みを見ながら、私たちが今、何をすべきかを考えてみたい。
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