2019/02/08
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』

この図では、WHOコードを法制化している国は、色付けされています。白色が法制化されていない国です。
賛同しているのに違反した場合は、どのような事が起こるかについては、また、のちほど書く事にして、もう少し、WHOコードの中身を見ていきます。
保健医療従事者は、妊娠中の女性、乳幼児の母親やその家族に乳児用ミルクの試供品を渡さない(要約)
乳児用ミルク、哺乳びんや人工乳首を一般消費者に宣伝・販売促進をしない(要約)
製造業者・流通業者は、妊娠中の女性や母親、その家族に、試供品の提供や無料もしくは低価格(割引クーポンや特売など)で提供しない(要約)
試供品をわたすのもNG ですし、宣伝や販売促進もできません。クーポンを家族にわたすこともNGとなっており、国際規準では母乳代用品のマーケティングに対し、厳しい規定を設けています。
そして、
製造業者も流通業者も、政府が実施のための行動をとっていないかどうかにかかわらず、国際規準に従う(要約)
製造業者だけでなく、流通業者にも、政府が行動をとらなかったとしても規準に従うことを求めています。なかなか厳しい規定ですよね。それだけでなく、
保健医療システム(注:例えば母親学級や保育所も含む)は、製品の販売促進に利用されてはならない(要約)
保育所や母親学級に対しても、販売促進に利用されてはならないという規定があります。なぜかというと、国際規準における「保健医療システム」とは、「政府、NGOや民間の運営する施設もしくは団体で、母親、乳児、妊娠中の女性の健康管理に直接、間接にかかわるもの。保育所や児童施設も含まれる。また個人開業の保健医療従事者も含む」とあります。そして、保健医療従事者とは、「保健医療システムにかかわって働く人を意味する。専門家、非専門家を問わず、また無給のボランティアを含む」とあります。そのため、赤ちゃんやお母さんの健康を守るためのボランティアもこの国際規準の定義では保健医療従事者、ですし、保育士も該当します。
ということですので、このWHOコードを守るのであれば、防災関係者やボランティアの人がミルクあるから使ったらいいわよと気軽にあげられるものではないという事になります。よくWHOコードの母乳代用品の扱いは「抗生物質と同じ」と比喩されることがあるのですが、抗生物質が必要な人にとってどんなに役立つものであっても、ボランティアの人が誰にでも配れるものではなく、医師や薬剤師など専門職のアセスメントが必要ですよね。それと同じ扱いになっています。
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』の他の記事
おすすめ記事
-
「自分の安全は自分で」企業に寄り添いサポート
海外赴任者・出張者のインシデントに一企業が単独で対応するのは簡単ではありません。昨今、世界中のネットワークを使って一連の対応を援助するアシスタンスサービスのニーズが急上昇しています。ヨーロッパ・アシスタンス・ジャパンの森紀俊社長に、最近のニーズ変化と今後の展開を聞きました。
2025/08/16
-
白山のBCPが企業成長を導く
2024年1月1日に発生した能登半島地震で震度7を観測した石川県志賀町にある株式会社白山の石川工場は、深刻な被害を受けながらも、3カ月で完全復旧を実現した。迅速な対応を支えたのは、人を中心に据える「ヒト・セントリック経営」と、現場に委ねられた判断力、そして、地元建設会社との信頼関係の積み重ねだった。同社は現在、埼玉に新たな工場を建設するなどBCPと経営効率化のさらなる一体化に取り組みはじめている。
2025/08/11
-
三協立山が挑む 競争力を固守するためのBCP
2024年元日に発生した能登半島地震で被災した三協立山株式会社。同社は富山県内に多数の生産拠点を集中させる一方、販売網は全国に広がっており、製品の供給遅れは取引先との信頼関係に影響しかねない構造にあった。震災の経験を通じて、同社では、復旧のスピードと、技術者の必要性を認識。現在、被災時の目標復旧時間の目安を1カ月と設定するとともに、取引先が被災しても、即座に必要な技術者を派遣できる体制づくりを進めている。
2025/08/11
-
アイシン軽金属が能登半島地震で得た教訓と、グループ全体への実装プロセス
2024年1月1日に発生した能登半島地震で、震度5強の揺れに見舞われた自動車用アルミ部品メーカー・アイシン軽金属(富山県射水市)。同社は、大手自動車部品メーカーである「アイシングループ」の一員として、これまでグループ全体で培ってきた震災経験と教訓を災害対策に生かし、防災・事業継続の両面で体制強化を進めてきた。能登半島地震の被災を経て、現在、同社はどのような新たな取り組みを展開しているのか――。
2025/08/11
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/08/05
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/08/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方