2019/03/20
レジリエントな社会って何?
さて、今回ご紹介する事例は、筆者が2011年11月から2012年3月にかけて、(財)地方自治情報センター(当時)と共同で実施した「東日本大震災における地方公共団体情報部門の被災時の取組みと今後の対応のあり方に関する調査研究」から紹介させていただきます。
https://www.j-lis.go.jp/rdd/chyousakenkyuu/cms_92685924.html
本調査では、岩手県・宮城県・福島県内の13市町(【岩手県内】宮古市、陸前高田市、釜石市、大槌町、【宮城県内】仙台市、気仙沼市、東松島市、石巻市、南三陸町、【福島県内】いわき市、南相馬市、双葉町、浪江町)の情報部門を訪問して、東日本大震災において情報通信技術(ICT)が受けた被害およびその復旧プロセスについて、聞き取りを行いました。まずは大槌町のケースを取り上げます。
役場機能を数回移転せざるを得なかった大槌町
岩手県の大槌町は、東日本大震災で最も被害を受けた自治体の1つでした。津波は町のおよそ半数の建物に到達し、町を破壊したのです。大槌町の本庁舎(●●資本:A)はコンクリートブロック造の2階建で、海岸線に近いところにあったため、津波に飲み込まれました。地震が発生した直後、本庁舎の前にあった広場に災害対策本部が設置されました。そこで幹部を含む職員が対応会議を行っていたところの津波襲来だったため、町長を含む多くの職員(●●資本:B)が被災しました。137人いた職員の3分の1(人的資本)を失ってしまいました。
庁舎が浸水し使えなくなったため、町内の高台にある中央公民館に災害対策本部が移り、震災から約1カ月以上が経過した4月25日に、中央公民館横の小学校校庭に仮設庁舎(●●資本:C)が開所しました。この小学校は、地震発生後に発生した山火事の影響を受け、廃校となっていたものです。
さて、A~Cにはどの資本の名称が当てはまるでしょうか。Aは、庁舎という建物です。冒頭の6つの資本の表「キャピタルの種類と定義」を思い出してください。「建物資本」というキャピタルの種類はありませんが、表の右列に「経済的価値を生み出す、物理的な生産(製造)物」とあります。これを「経済資本」と呼びます。Bは、職員ですから人間資本。Cも建物なので経済資本です。
レジリエントな社会って何?の他の記事
おすすめ記事
-
-
-
月刊BCPリーダーズ2025年上半期事例集【永久保存版】
リスク対策.comは「月刊BCPリーダーズダイジェスト2025年上半期事例集」を発行しました。防災・BCP、リスクマネジメントに取り組む12社の事例を紹介しています。危機管理の実践イメージをつかむため、また昨今のリスク対策の動向をつかむための情報源としてお役立てください。
2025/10/24
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/10/21
-
「防災といえば応用地質」。リスクを可視化し災害に強い社会に貢献
地盤調査最大手の応用地質は、創業以来のミッションに位置付けてきた自然災害の軽減に向けてビジネス領域を拡大。保有するデータと専門知見にデジタル技術を組み合わせ、災害リスクを可視化して防災・BCPのあらゆる領域・フェーズをサポートします。天野洋文社長に今後の事業戦略を聞きました。
2025/10/20
-
-
-
走行データの活用で社用車をより安全に効率よく
スマートドライブは、自動車のセンサーやカメラのデータを収集・分析するオープンなプラットフォームを提供。移動の効率と安全の向上に資するサービスとして導入実績を伸ばしています。目指すのは移動の「負」がなくなる社会。代表取締役の北川烈氏に、事業概要と今後の展開を聞きました。
2025/10/14
-







※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方