2019/03/27
講演録
2011年3月11日の東日本大震災で、福島第一原子力発電所と同様に地震・津波の被害を受けながらも、炉心損傷に至ることなく全号機の冷温停止を達成した福島第二原子力発電所。現場指揮に当たったのが、当時所長だった増田尚宏氏だ(現日本原燃株式会社 社長)。危機的な状況の中でも落ち着いて的確に現場をまとめあげたリーダーシップは海外でも評価され、ハーバード・ビジネス・スクールの授業でも取り上げられているという。その増田氏が当時を振り返った。
福島第二は700人の所員がいたんですが、8割以上は地元住民でした。そのうち津波で23人が家を流されています。身内が亡くなった人は8人いました。ただ、そんな状況でも私はこのときに、皆に「帰らないでくれ」と指示をしています。1人、2人と帰り始めたら、絶対に皆が動揺してしまうと感じました。「あの人が帰ったから、私も帰らなくちゃ」と連鎖する危険性があったので、全員に「帰るな」と明確に伝えています。当時の週刊誌などには、「福島第二の所長は鬼になって、柵を閉めて誰も出さないようにした」などと報じられましたが、実態はかなり違いますが、そのくらいに思われてもおかしくないぐらいがっちりやらせてもらいました。何回かにわたって私は帰らないでくれと言っていますが、7月ぐらいに、状況が落ち着いてきてからは、勤務の形態も変えながら、家庭を優先してくれと言っています。そこまで皆が踏ん張ってくれたのは、本当にありがたかったです。
逆に、絶対皆と連絡が取れるようにするんだということで、連絡を取るための専門の係を使って、徹底的に安否不明の家族も探してもらっています。ただ、NTTの電話は通じない、携帯も通じないという中で、避難も始まっているので、家族とコンタクトすることも難しく、安否確認に1週間から10日かかっています。それでも、10日かかって、皆が何とか自分の家族と連絡が取れた。そこまで、よく我慢してくれたと思っています。
講演録の他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/10/05
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/09/29
-
-
-
操作不要の防水板で水害リスクを低減
全国各地で、豪雨災害が頻発している。2026年8月13日には、千葉県内で記録的な大雨が発生し、大きな浸水被害をもたらした。「命を守る行動」が最優先事項ではあるが、建物の浸水被害も防ぎたい。望ましいのは、人も建物も守れる備えだ。防水板や防水扉の設計製造を行う宇根鉄工所(広島県東広島市)では、人手を介さず水の力で起きあがる浮力起伏式防水板を開発している。代表取締役社長の宇根利典さんに、水害リスクに対する備えを聞いた。
2026/09/28
-
-
-







※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方