2019/04/16
防災・危機管理ニュース
![](https://risk.ismcdn.jp/mwimgs/8/d/670m/img_8d36f6aeffeed96c70ba1dd1883e0215270264.jpg)
ソフトウェアの著作権保護に関する調査研究、啓発活動を進めている、IT企業を中心とした非営利団体のBSAは16日、カンファレンス 「デジタル・ガバメントの未来と世界の潮流~デジタルファースト実装に向けて~」を東京都千代田区の衆議院第一議員会館で開催。平井卓也IT担当大臣も出席し、電子政府の推進に向けた講演が行われた。
冒頭、BSA・アジア太平洋政策担当シニア・ディレクターのジャレッド・ラグランド氏が「電子政府化は市民へのサービス向上につながる」と述べ、米国で2018年末にデジタル化を推進する法律が成立したことを紹介。行政データの電子化やモバイル対応を推進し、コスト削減を進めることを紹介した。
平井担当相は国会に提出を予定しているデジタルファースト法案について説明。「行政の原則をアナログからデジタルに代える。デジタル化は今考えられている以上の変化があり、基盤づくりや人材育成が必要となる。マインドセットを変えることも重要だ」と述べた。またこれまで各省庁が個々で行っていたIT関連予算を内閣官房に一元化する方針を示し、「政府のIT関連支出の約7000億円のうち6割が維持・管理コスト。これを引き下げ、今後に対応できるシステムにしないといけない」と語った。
自民党・IT戦略特別委員会事務局次長を務める小林史明・衆議院議員は、ビデオメッセージで地方自治体も含めた電子化におけるクラウド利用の重要性を述べた。特に「オンプレミスを使い自治体ごとにシステムが違うと災害時支援などでの応援職員派遣で問題もある。標準的なクラウド活用を推進したい」と述べ、クラウドの安全性評価を決め、自治体が調達しやすくなるようにすることが重要だとした。総務省ではクラウドの安全性評価に関する中間とりまとめを3月に行っている。同省の情報流通行政局地方情報化推進室長である松田昇剛氏も自治体のクラウド利用の重要性ほか、「スマート自治体とし、AIやロボティクスも活用し従来の半数の職員での業務を目指したい」と述べた。
自治体からは熊本市総務局行政管理部情報政策課情報ネットワーク班参事の高橋征二氏が、マイクロソフトが協力しクラウドも用いたIT化について説明。IT化は効率化だけでなく、「縦の関係のみでなく横をつないでいくほか、文化をよりよく変えていくことも大事」と説明。コミュニケーションの強化や新たな支え合いのツールとしての活用の重要性を説明した。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
3線モデルで浸透するリスクマネジメントコンプライアンス・ハンドブックで従業員意識も高まる【徹底解説】パーソルグループのERM
「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンとして掲げ、総合人材サービス事業を展開するパーソルグループでは、2020年のグループ経営体制の刷新を契機にリスクマネジメント活動を強化している。ISO31000やCOSO-ERMを参考にしながら、独自にリスクマネジメントの体制を整備。現場の業務執行部門(第1線)、ITや人事など管理部門(第2線)、内部監査部門(第3線)でリスクマネジメントを推進する3線モデルを確立した。実際にリスクマネジメント活動で使っているテンプレートとともに、同社の活動を紹介する。
2024/07/23
-
インシデントの第一報を迅速共有システム化で迷い払拭
変圧器やリアクタなどの電子部品や電子化学材料を製造・販売するタムラ製作所は、インシデントの報告システム「アラームエスカレーション」を整備し、素早い情報の伝達、収集、共有に努めている。2006年、当時社長だった田村直樹氏がリードして動き出した取り組み。CSRの一環でスタートした。
2024/07/23
-
「お困りごと」の傾聴からはじまるサプライヤーBCM支援
ブレーキシステムの開発、製造を手掛けるアドヴィックスは、サプライヤーを訪ね、丁寧に話しを聞くことからはじまる「BCM寄り添い活動」を2022年度から展開している。支援するのは小規模で経営体力が限られるサプライヤー。「本当に意味のある取り組みは何か」を考えながら進めている。
2024/07/22
-
-
危機管理担当者が知っておくべきハラスメントの動向業務上の指導とパワハラの違いを知る
5月17日に厚生労働省から発表された「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」によると、従業員がパワハラやセクハラを受けていると認識した後の勤務先の対応として、パワハラでは約53%、セクハラでは約43%が「特に何もしなかった」と回答。相談された企業の対応に疑問を投げかける結果となった。企業の危機管理担当者も知っておくべきハラスメントのポイントについて、旬報法律事務所の新村響子弁護士に聞いた。
2024/07/18
-
基本解説 Q&A 線状降水帯とは何か?集中豪雨の3分の2を占める日本特有の現象
6月21日、気象庁が今年初の線状降水帯の発生を発表した。短時間で大量の激しい雨を降らせる線状降水帯は、土砂災害発生を経て、被害を甚大化させる。気象庁では今シーズンから、半日前の発生予測のエリアを細分化し、対応を促す。線状降水帯研究の第一人者である気象庁気象研究所の加藤輝之氏に、研究の最前線を聞いた。
2024/07/17
-
-
災害リスクへの対策が後回しになっている円滑なコミュニケーション対策を
目を向けるべきOTリスクは情報セキュリティーのほかにもさまざま。故障や不具合といった往年のリスクへの対策も万全ではない。特に、災害時の素早い復旧に向けた備えなどは後回しになっているという。ガートナージャパン・リサーチ&アドバイザリ部門の山本琢磨氏に、OTの課題を聞いた。
2024/07/16
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方