熊谷社長(中央)は企業リスクとしてカスハラが顕在化していることを述べた

エス・ピー・ネットワーク(SPN)は30日、「カスハラ」と呼ばれ、企業へ執拗なクレームや暴言、不当要求などを消費者や顧客が行うカスタマーハラスメントの実態調査について発表。同日に東京都千代田区で記者懇談会を開催した。企業でクレーム対応を行った経験のある会社員1030人を対象にした調査で55.8%が直近3年間でカスハラが増えていると回答。またSPNでは正当なクレームと不当要求を分け、不当要求者対策を立てることが重要とした。

調査では直近3年間でカスハラが増えているかどうかの質問に「とても増えている」14.7%、「増えている」41.1%で計55.8%が増加と解答。クレーム処理を行う上でカスハラについて「とても困っている」19.3%、「困っている」38.8%で計58.1%が困っているとした。以前対応したカスハラを行う顧客の特徴(複数回答可)は「クレーム中に何度も同じことを言う」71.2%、「論点がずれたクレームをする」と「要求が不当な要求である」が同じ70.5%だった。また勤務先が顧客対応に関するマニュアルについて「作成している」は31.4%にとどまった。作成企業の中でカスハラに対応したものを作っている企業は62.2%だった。

SPNではクレームと不当要求の区別があいまいなほか、断る基準など対応方針が不明確で現場対応ノウハウが蓄積されていない事が企業の課題と分析。不当要求は企業にとってロスととらえ、断る方針の明確化やわかりやすい対応指針の作成といった対策が必要だとした。不当要求を行う人物は情報の自己正当化のほか暴言など脅し、同じ話の蒸し返しといった共通の特徴がみられるという。

カスハラがあった場合、話を聞くことに徹し、事実関係の確認を実施。対応時の内容の記録や共有を行う初期対応が重要だとSPNは説明。顧客の話は(1)事実(2)不満(3)意見(4)要求、のどれにあたるか意識し、要求の場合は要求内容の正当性や損害との因果関係などから判断を下すべきだとした。SNSに不当な書き込みがあった際は、自社ホームページなどを通じ正当性をアピールし、当事者以外のネットユーザーに対し理解を深めることが重要だという。

カスハラ対応を誤ると従業員へのストレスによる離職増や、不当要求に応じることがコンプライアンス違反に問われる可能性もある。SPNでは企業に対し研修やコンサルティングのほか、クレーム対応要員の派遣や24時間365日対応の相談受付窓口も用意している。熊谷信孝社長は記者懇談会で「かつては反社会勢力からが多かったが、今は一般人による不当要求が多い」と分析。「現場のストレスを軽減し、組織的な対応を促していきたい」とカスハラ撲滅へ思いを述べた。

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https://www.sp-network.co.jp/press-release/spn20190530.html

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介