2019/06/10
企業よ、サイバーリスクに備えよ
エンドポイントによるホワイトリスト制御:制御デバイスを監視・制御するマネージメントアプリケーションは、汎用のOS上で動作するものが多数あります。現在、各セキュリティ製品メーカーから限定的なアプリケーション動作のみを許容するエージェント型の製品がリリースされています。
一般的なアンチウイルスなどのソフトだと、パターンファイルなどをインターネット上から更新しなければなりませんが、このタイプのソフトであればその必要はありません。ホワイトリストの決定に関しては大きく2つあります。
(1)管理者が手動でホワイトリストを決定するもの
(2)一定期間、OS上で動作するプロセスなどを学習し、それをホワイトリスト対象とするもの
プロセスID、レジスターなど、製品により何をホワイトリストの検知対象とするかは製品によって異なります。
ゲートウェイによるホワイトリスト制御:ゲートウェイを通過する通信をホワイトリストの対象として限定する制御方式です。最近のUTM・ゲートウェイメーカーで搭載されている機能の一つです。タイプも製品によってさまざまです。簡易的なものはL4:UDP/TCPのポート番号を指定するのみであり、複雑なものはアプリケーションレイヤーのメッセージタイプまで識別ができます。こちらもホワイトリスト対象の決定はエンドポイントと同様で、マニュアル設定、もしくは自動学習による設定で行います。
通信モニタリングによるセキュリティ監視:最近の通信モニタリング製品は制御システムプロトコルの内容を解析し、その結果から不審な通信・デバイスを特定することができます。システム内部からのハッキング通信等は、モニタリングによる監視が有効です。そしてSDNと連携することにより、不審な通信や脅威となるデバイスに対して隔離等の制御を行うことができます。
エッジネットワークによるホワイトリスト制御:エッジネットワークに接続する制御デバイスと物理的な接続ポートの関連をホワイトリストの対象として限定する制御方式です。SDNで管理する場合にはSDNコントローラーの指示により、一元管理されます。こちらもホワイトリスト対象の決定は他と同様で、マニュアル設定もしくは自動学習による設定で行います。ホワイトリストの対象に入っていない端末が許可なくシステムネットワークへアクセスを試みた場合、その通信を遮断するとともに、アクセスした場所などを管理者に通知します。
SDNネットワークによる統合管理:これはアライドテレシスのSDNソリューションの固有機能になりますが、各種セキュリティ製品のイベントログをSDNコントローラーに通知することで、異常が発生している場所を管理者や監視システムに通知することができます。また、エッジネットワーク配下にどのような制御デバイスが接続されているかを探索する機能も搭載しています。運用開始前にSDNコントローラーから複数のエッジネットワーク機器に対して一斉に探索コマンドを送信し、現状の接続状態を管理者に見せることが可能です。下記に利用イメージ記載します(ビルの制御システム対する応用例)。
このように、さまざまなセキュリティ製品をSDNと連携させることにより、制御システムに対して強靭な多層化防御を行うことができます。今回ご紹介したSDN連携に関して、アライドテレシスは2018年に数多くの活動を行っています。各連携等の内容はアライドテレシスのニュースリリース(2018年)に記載されていますので、ぜひご覧ください。
https://www.allied-telesis.co.jp/news/2018?news_taxonomy=solutions
次回は「あなたの会社、システムは大丈夫?」というテーマで課題を取り上げ、その課題を解決する対策、脆弱性診断に触れていきたいと思います。
(了)
- keyword
- SDN
- サイバー攻撃
- サイバーセキュリティ
- 制御システム
企業よ、サイバーリスクに備えよの他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/09/02
-
-
-
ゲリラ雷雨の捕捉率9割 民間気象会社の実力
突発的・局地的な大雨、いわゆる「ゲリラ雷雨」は今シーズン、全国で約7万8000 回発生、8月中旬がピーク。民間気象会社のウェザーニューズが7月に発表した中期予想です。同社予報センターは今年も、専任チームを編成してゲリラ雷雨をリアルタイムに観測中。予測精度はいまどこまで来ているのかを聞きました。
2025/08/24
-
スギヨ、顧客の信頼を重視し代替生産せず
2024年1月に発生した能登半島地震により、大きな被害を受けた水産練製品メーカーの株式会社スギヨ(本社:石川県七尾市)。その再建を支えたのは、同社の商品を心から愛する消費者の存在だった。全国に複数の工場があり、多くの商品について代替生産に踏み切る一方、主力商品の1つ「ビタミンちくわ」に関しては「能登で生産している」という顧客の期待を重視し、あえて現地工場の再開を待つという異例の判断を下した。結果として、消費者からの強い支持を受け、ビタミンちくわは過去最高近い売り上げを記録している。一方、BCPでは大規模な地震などが想定されていないなどの課題も明らかになった。同社では今、BCPの立て直しを進めている。
2025/08/24
-
-
-
-
ゲリラ豪雨を30分前に捕捉 万博会場で実証実験
「ゲリラ豪雨」は不確実性の高い気象現象の代表格。これを正確に捕捉しようという試みが現在、大阪・関西万博の会場で行われています。情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所、大阪大学、防災科学技術研究所、Preferred Networks、エムティーアイの6者連携による実証実験。予測システムの仕組みと開発の経緯、実証実験の概要を聞きました。
2025/08/20
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方