2019/06/27
当事者防災研究会~要配慮者が自ら助かるための知恵と工夫~
災害報道にも配慮を
また社会的な取り組みとしては、全日本ろうあ連盟が緊急会見および報道に関して、内閣官房、気象庁、NHK、民放連へ聴覚障害者への情報保障に関する緊急要望を出している。
以下、下記ページ抜粋。
■山形県沖を震源とする地震に関する聴覚障害者への情報保障について(緊急要望)
https://www.jfd.or.jp/2019/06/19/pid19326
1.特別警報をはじめとした緊急災害放送には、ローカル番組を含むテレビ番組に「手話言語(通訳を含む)と字幕」を必ず付与してください。また、手話通訳がつく記者会見については必ず手話通訳を付与し報道してください。
<説明>
・緊急災害時の放送番組には手話通訳を挿入して「手話放送」を実施してください。
・基幹放送(民放)事業者各位におかれましては、放送免許の更新にあたり、「基幹放送局の再免許等に当たっての要請」を総務省から受けとっており、その「要請項目5」では、「字幕放送、解説放送及び手話放送について、視聴覚障害者、高齢者に十分配慮し、総務省が策定した「視聴覚障害者向け放送普及行政の指針」を達成するよう努めること。特にできる限り全ての大規模災害等緊急時放送における字幕放送の実施及びCMへの字幕付与の普及に留意すること。」とされています。
いうまでもなく、放送には「公共性」が問われます。この「公共」から聴覚障害者を排除することのないよう速やかに対応してください。
・さまざまな記者会見において手話通訳者が配置されている際には、テレビ放送、インターネット配信時に視聴者が話者と手話通訳者を同じ画面で同時に見ることができるよう撮影時及び放送・配信時に配慮をしてください。
・今回は特に、気象庁の緊急会見に手話通訳の付与がありませんでした。このような場合、手話言語を必要とする聴覚障害者にも迅速、かつ正確な災害情報が伝わるよう、基幹放送(民放)事業者をはじめ放送局側で手話通訳を付与するといった対応を講じていただきたくお願いいたします。
どれも聴覚障害者にとって、とても大切なニーズであり、また、視聴者にも手話を分かってもらうきっかけになるかもしれない。
下記のビデオはフィリピンの聴覚障害者コミュニティが作成した災害を表現するための手話。
filipino sign language: disaster warning • Philippine Deaf Community Vlog(出典:YouTube)
災害時に重要なことは情報が伝わらず、避難することを知らずに取り残される人をなくすこと。
またしっかりと温かい心のコネクションを伝え、不安にさせず、誰もが隔たりを持たず、協力して災害を乗り切ることだと思う。
(了)
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