2019/08/23
葛西優香の23区防災ぶらり散歩
生活になじむ防災対策!
筒井さんによれば、「今の防災倉庫は、もともとジムの更衣室だったところ。各階の備蓄倉庫は、小さな棚をうまく利活用して倉庫にしています。ジムが使われる様子を見ていても、利用される方は、家から運動する格好で来て、そのまま帰るから更衣室の必要性は特にありませんでした。なので、男女兼用の更衣室を一つ残し、もう一つの更衣室は思い切って防災備蓄倉庫にしたのです」とのこと。

さらに筒井さんは、「また各階の備蓄倉庫は、隙間にファイルでマニュアルを入れたりとか、場所をとりすぎないけど大事なものはきちんと収納をして空間を有効活用しています。輪番制で各階のフロア委員を決めていて、その方がさっと取り出せるように安否確認のシートや各階のフロア委員がわかるようにビブス(写真左のピンク色のビブスがたたんで収納されている)も入れています」と各階の細かい工夫を説明しました。

すでにあるマンションの空間を有効活用して、今ある資源でどのような備えができるか…ということを徹底的に考え抜かれ、実践されていました。
新しい技術も導入!
「このマンションのみで見ることができる館内放送である、各世帯のテレビの3チャンネルに合わせると、実施した訓練の内容などが動画で見られるようになっています。災害時は、非常情報をテロップで流すことも計画されています。回覧板で回すような催しの開催情報などもこのチャンネルで確認できるようになっているのです。新技術導入でインターネットから情報を取りに行くことに慣れていないシニア世代、回覧板を読み込むことに慣れていない子育て世代、どの世代にとっても情報を得やすい映像を活用して、マンション内の情報共有に挑戦しています」と筒井さんは話します。
「防災委員の任期は2年ですが、より多くの人に関わってもらうために防災委員だけでなく任期1年輪番制のフロア委員も決めています。防災委員とフロア委員を輪番制にすることで、各フロアの皆さんが防災に対して関心を持ってもらえるようになります。すると自然と会話が生まれて、知り合いになっていくんですよね、各階で」というように、人のつながりづくりは仕組みがきっかけとなり、深めていくのは人と人の力なんだなと実感するお話を蓮見さんが語ってくださいました。
新しい技術の導入、より多くのマンション住民が関わる機会の創出など生活に即した方法で取り組みは進められていきました。
- keyword
- 23区防災ぶらり散歩
- 中央区
- マンション
葛西優香の23区防災ぶらり散歩の他の記事
おすすめ記事
-
-
ゲリラ雷雨の捕捉率9割 民間気象会社の実力
突発的・局地的な大雨、いわゆる「ゲリラ雷雨」は今シーズン、全国で約7万8000 回発生、8月中旬がピーク。民間気象会社のウェザーニューズが7月に発表した中期予想です。同社予報センターは今年も、専任チームを編成してゲリラ雷雨をリアルタイムに観測中。予測精度はいまどこまで来ているのかを聞きました。
2025/08/24
-
スギヨ、顧客の信頼を重視し代替生産せず
2024年1月に発生した能登半島地震により、大きな被害を受けた水産練製品メーカーの株式会社スギヨ(本社:石川県七尾市)。その再建を支えたのは、同社の商品を心から愛する消費者の存在だった。全国に複数の工場があり、多くの商品について代替生産に踏み切る一方、主力商品の1つ「ビタミンちくわ」に関しては「能登で生産している」という顧客の期待を重視し、あえて現地工場の再開を待つという異例の判断を下した。結果として、消費者からの強い支持を受け、ビタミンちくわは過去最高近い売り上げを記録している。一方、BCPでは大規模な地震などが想定されていないなどの課題も明らかになった。同社では今、BCPの立て直しを進めている。
2025/08/24
-
-
-
-
ゲリラ豪雨を30分前に捕捉 万博会場で実証実験
「ゲリラ豪雨」は不確実性の高い気象現象の代表格。これを正確に捕捉しようという試みが現在、大阪・関西万博の会場で行われています。情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所、大阪大学、防災科学技術研究所、Preferred Networks、エムティーアイの6者連携による実証実験。予測システムの仕組みと開発の経緯、実証実験の概要を聞きました。
2025/08/20
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/08/19
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方