避難のあり方も見直しに迫られている(写真:写真AC)

東京23区の「その区ならでは」の取り組みをお伝えしている「23区防災ぶらり散歩」。今回は特別版として、コロナ禍における避難について、各区で区民から疑問の声があがり始めている中、提言を出された日本災害情報学会で企画委員会委員を務めている磯打千雅子先生にお話を伺いました。「自身にとっての最適な避難とは?」。今一度、考える時が来ています。

避難所に行くことが“良い避難”?

「ご近所さんに『避難所に行くことが“良い避難”ではなかったんですね?』と言われたんです」と話すのは、今回お話を伺った日本災害情報学会 企画委員会 委員 磯打千雅子先生。

「倉敷の自宅周辺は、複数世帯で家族ぐるみのお付き合いがあります。今回、学会で提言を出したことを取り上げてもらい、岡山の放送局で放映されました。その放送を観たご近所さんに言われたのがその一言でした。まだまだ“避難”に対する日本人の認識を改めないといけないなと思いました」

“避難”に対する日本人の認識は、もちろん一括りにはできないと思います。

「自分が逃げるべき避難所の場所を把握していて、何があってもそこに逃げるんだと、家族と約束している」

「まだ新築の家なので、建物が壊れることはない。自分の家が避難場所となるだろう」

「水害が来たら、川の近くで2階建ての家は浸水する想定になっている。少しでも高台のマンションの友人宅に避難させてもらう約束をしている」

このように、災害の種類、住んでいる場所の特性によって“避難”のあり方は変わります。大切なのは“避難のあり方が変わる”という状況を、一人一人が認識できているかどうかではないでしょうか。