マンション内では日々あいさつ、地域内では祭りに参加

「これからは組織の充実が大切。防災委員も輪番制を取り入れているけど、固定メンバーが中心になっているのです」と課題を話す山田さん。

マニュアルを2冊作成し、備蓄倉庫も整い、情報共有手段も新しく構築された(前述のテレビの3チャンネル)。防災委員に所属していない住民の方は、フロア委員として「知る」ことから始まり、「自らが動き、疑問点や改善点を整理していく作業」が今後は期待されています。

その疑問をすぐに伝えられるように、また改善に向けて動き出せるように、まずは顔の見える関係を創ることが大切。「ちょっとしたエレベーターの中の会話で改善点が見つかるときもあるのです」と言いながら、マンション内を案内してくださった時の筒井さんは、すれ違うすべての方にあいさつとプラスアルファの一言を交わされていました。

笑顔でさり気なく声をかけ合うマンション内での会話がいざというときの助け合いに変わる

地域の町会との連携も欠かせない防災。地元の町会の方と3年に一度の地元住吉神社例大祭や、町会の餅つき大会、夏祭りなどで一緒に盛り上がることで関係性を築いておられす。

「例大祭時には、マンションの公開空地が御仮屋(町会神輿の駐留所)になるんです。その時期になると、地域の方が自然と集まってくれる。ただ、お祭りに参加する人もマンション内で一部なので、マンション全体として町会とつながることができる機会は創りたいなと思っています」と筒井さん。

「訓練も毎年やっているとマンネリ化する。目新しい、関心を引くようなものを実行しないとな〜といつも試行錯誤をしています。定期的に『防災だより』を発行し配布していますが、読みやすいように情報量も絞ることを意識しています」と山田さん。

一言一言に込められた想い、そしてマニュアル作成や訓練内容を模索することなどの行動はすべて災害時に生きてくる。いや、災害時だけではなく日常のふとした助け合い、エレベーター内でのお互いを気遣う会話、お子さんの成長を一緒に喜ぶ瞬間、重たい荷物を持ち合う優しさ、そんな小さな助け合いは日常でも活きてくると思います。

日常になじむ防災対策に取り組まれている「ファミール月島グランスイートタワー」の皆さん。

次はどんな訓練を考え、住民一体となるための工夫を凝らした発信をするのでしょうか。その模索が必ず「いざというときの助け合い」につながることを願っています。

(了)