駐在経験者と現駐在員の口論の原因は、中国の変化のスピードにあります

■ 「お前が、来てやってみろ!」「お前、ここにおったやろ?」

もちろん、駐在員の中には精神的にタフな方、元々中国の習慣や文化に適応能力のある方も多くいらっしゃいますから、全員が全員悩んでしまうということでもありません。

しかし、相変わらず少なくないのが今回の題目である「OKY」と「OKO」という現地駐在員の心の叫びともいえる本社への不満です。

「OKY」とは、「お前が、来てやってみろ」の3つの頭文字、「OKO」とは、「お前、ここにおったやろ?」という関西弁風の3つの頭文字の隠語です。筆者が、さまざまなセミナーや会合でこの話をするのですが、ほぼ毎回笑いがこぼれます。つまり、それだけこの言葉に秘められた気持ちに同感する方が多いということなのでしょう。

でもこれを単なる笑いで終わらせてしまってはいけません。これは本社と現地の温度差、事情の共有不足、お互いの認識に大きな乖離(かいり)があるということの証左なのです。当然このまま放っておいていいものではありません。中国事業をうまく進めていくためには、日本本社の理解とサポートが必要なのにもかかわらず、現地で奮闘する日本人駐在員が「OKY」とか「OKO」という不満を持っているとするなら、それは危険信号といえるのではないでしょうか。

特に「OKO」の方は深刻です。

これはどういう状況なのかというと、過去に中国での赴任経験がある方が本社の役員や幹部となられて、その経験を買われ中国事業部の部長や顧問をされている場合などに当てはまるのですが、刻々とスピーディーに変化する中国事業環境を過去の経験でしか理解できず、古い感覚のまま現地赴任社員を指導しているような場合に起きる不満です。ここ中国においての最近10年の変化は、日本での50年ほどの変化と等しいと言っても過言ではないほどの違いがあります。それにもかかわらず、自分がいた頃の中国と現在の中国が同じだと思ってしまっていることが既に、大きな失敗や判断ミスを起こしてしまう原因となってしまっているのです。

なにとぞ、今中国で事業をされている企業さま、またはこれから事業展開を考えている企業さまにおかれましては、以上のような失敗を繰り返さないためにも、どこにどのようなリスクが潜んでいるかをよくよく理解した上で駐在員の人選を行い、かつ常に現地目線で事情を理解し、サポートできる体制を準備されんことを推奨いたします。

(了)