2019/10/23
セキュリティ文化の醸成と意識の高度化 ~2020年に向けて私たちにできること~
ナイフと共にインドネシアへ
伊丹空港のANA便でこの事案が発生し、発覚後、ANA搭乗予定旅客全員を保安検査場の外へ戻し、検査を再度行うことになりました。遅延や欠航となっても仕方がない、こうした状況においてはセキュリティが最優先されるため、この判断は当然のことです。日本以外の多くの空港でも同じ対応が取られています。
たったひとりの旅客の事案により、すでに保安検査を受けたはずの全員が戻され、長い列に並ぶことになり、時間をかけて検査を再び受けなければならなくなりました。結果、欠航32便3666名、遅延43便4987名、合わせて75便8653名が影響を受けました。予定時刻に出発しない、目的地へ到着できないということは、航空会社また旅客にかかったストレスは相当なものだったと推察できます。ただ、この大騒動の当日中にナイフを持ち込んだ旅客を特定し発見することはできませんでした。
10月8日ANAがホームページに載せた「9月26日の保安検査に関わる事案について」というレポートに、本事案の旅客の特定に至るまでの経緯が記されています。当の本人は、伊丹空港から羽田空港へ飛び、羽田で国際線に乗り継ぎ、ナイフとともにインドネシアのジャカルタ空港へ向かいました。「羽田でも保安検査を受けるはずだから、その時にナイフを見つけることができたのでは」と思いましたが、羽田空港ではX線検査担当者が、旅客の手荷物の中にあったナイフを見落としてしまい、開披検査を実施することなく通過してしまったとのことでした。
セキュリティ文化の醸成と意識の高度化 ~2020年に向けて私たちにできること~の他の記事
- ダメなものはダメ、伊丹のナイフ騒動
- 危険人物抑止にバックグラウンドチェック
- バックグラウンドチェックで危険関係者排除
- 緊急事態に遭遇(2)病気の単語
- 緊急事態に遭遇、その時あなたの判断は
おすすめ記事
-
-
ゲリラ雷雨の捕捉率9割 民間気象会社の実力
突発的・局地的な大雨、いわゆる「ゲリラ雷雨」は今シーズン、全国で約7万8000 回発生、8月中旬がピーク。民間気象会社のウェザーニューズが7月に発表した中期予想です。同社予報センターは今年も、専任チームを編成してゲリラ雷雨をリアルタイムに観測中。予測精度はいまどこまで来ているのかを聞きました。
2025/08/24
-
スギヨ、顧客の信頼を重視し代替生産せず
2024年1月に発生した能登半島地震により、大きな被害を受けた水産練製品メーカーの株式会社スギヨ(本社:石川県七尾市)。その再建を支えたのは、同社の商品を心から愛する消費者の存在だった。全国に複数の工場があり、多くの商品について代替生産に踏み切る一方、主力商品の1つ「ビタミンちくわ」に関しては「能登で生産している」という顧客の期待を重視し、あえて現地工場の再開を待つという異例の判断を下した。結果として、消費者からの強い支持を受け、ビタミンちくわは過去最高近い売り上げを記録している。一方、BCPでは大規模な地震などが想定されていないなどの課題も明らかになった。同社では今、BCPの立て直しを進めている。
2025/08/24
-
-
-
-
ゲリラ豪雨を30分前に捕捉 万博会場で実証実験
「ゲリラ豪雨」は不確実性の高い気象現象の代表格。これを正確に捕捉しようという試みが現在、大阪・関西万博の会場で行われています。情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所、大阪大学、防災科学技術研究所、Preferred Networks、エムティーアイの6者連携による実証実験。予測システムの仕組みと開発の経緯、実証実験の概要を聞きました。
2025/08/20
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/08/19
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方