□対策のポイント:判断基準を作り、毅然とした対応を

社会一般的に、顧客の要求を断らなくてはいけない場合、風評被害におびえ過ぎているきらいが感じられます。過去にはカスハラを行う本人はもちろん、その場に居合わせた人が面白半分に撮影しSNS上に公開するケースがありましたし、そういった投稿を見たSNS利用者が面白がって拡散などを行ってしまうケースも存在しました。しかしながら、近年のSNSに係わる利用者のネットリテラシー(情報を評価・識別する能力)は以前に比べて格段に向上していることも事実です。特にカスハラに関連する投稿では、その内容について「どちらに理かあるか?」を冷静に判断する閲覧者が増加しています。そして常識的に考えておかしい内容や、人を不愉快にさせる内容、偏った考え方の投稿では、書き込まれた側より、書き込んだ側が非難される時代になってきています。

投稿されることを単純に恐れるのではなく、企業としてこれまでの司法判断やガイドラインを参考に悪質クレームの判断基準を作り、毅然とした対応を行っていれば、一時的に非難めいた投稿が拡散しても、すぐにその対応について支持する投稿が増えていき、騒ぎは沈静化に向かいます。仮に事実無根の誹謗中傷を一方的に書き込まれた場合には、まず、その書き込まれた媒体の管理・運営者に削除を求めましょう。それが困難な場合には「プロバイダー責任制限法」により、法務省法務局に相談し、法務局からプロバイダーに対し、発信者の情報の開示請求と人権侵害情報の削除要請を依頼することも可能です。

企業としては、クレームに関して現場担当者に全てを任せるのではなく、組織として顧客・消費者や取引先からのクレームに関する基準を明確にした上で、現場担当者への対応教育を実施する必要があるでしょう。また、カスタマーハラスメントに該当する悪質クレームと判断した場合は、専門家や専門部署に担当を交代するのが得策です。

悪質クレーマーによる風評被害を恐れるより、悪質クレーマーから現場スタッフを守ることを、ぜひ優先してほしいと思います。

今回のテーマ:「外部(ハザード)リスク」「管理職・一般社員」

 

 

(了)