過去の災害での携帯トイレの使用事例

過去の災害での携帯トイレの使用実績を簡単に紹介します。

①東日本大震災
まずは冒頭で触れた東日本大震災での取り組みです。私に教えてくださったその方は、宮城県内のマンションの5階にお住まいでした。
2011年3月11日、津波被害で地域の方々がマンションの5階以上に避難してきました。その中にいたお子さんがトイレに行きたいと泣いていたので、自宅のトイレに携帯トイレを取りつけて使ってもらったとのことです。
もともとこの方はトイレ対策が重要だと認識して携帯トイレを備えていました。周囲の住民は、外部にトイレを借りに行ったりするなど、かなり苦労を強いられました。トイレの備えがあると、心に余裕ができるので災害時にやらなきゃならないことにしっかり取り組むことができたといっていました。
②平成30年7月豪雨
愛媛県における病院での取り組みです。
2018年7月7日、降り続く大雨と河川の氾濫により、病院は停電しました。すぐに当直のスタッフがトイレの水が出るかどうかを確認したところ、通常どおり水が流れました。
しかし、この水は屋上に設置してある高置水槽の水で、他の用途で使用するためトイレに使用してはいけないと判断しました。そして日頃から防災訓練で練習しているビニール袋と平オムツを組み合わせた携帯トイレを使用することを決断しました。計7日間、病院の職員および外来患者全員で実施しました。
③北海道胆振東部地震
北海道胆振東部地震における札幌市内の避難所での取り組みです。
2018年9月6日の昼過ぎから避難者が集まり始めたのですが、ブラックアウトにより断水し、水洗トイレが使用できませんでした。小学校の先生が防災用品の中に携帯トイレがあることに気づき、2日間で延べ100人程度の人が携帯トイレを使用しました。
通常であればプールの水が利用できるはずでしたが、前日の台風でプールの屋根が壊れ、その修繕のためにプールの水を抜いていました。こういう状況においても携帯トイレが役立ったのです。

これ以外にも、東日本大震災の際、浦安市が7万世帯に36万袋の携帯トイレ(ビニール袋と凝固剤)を配布したことなど、様々な事例があります。

携帯トイレを備えて訓練もしてみよう

災害時においても、トイレは待ったなしです。トイレが安心して使用できないと健康被害や衛生環境の悪化につながり、そこでの業務はもちろんのこと避難生活も成り立ちません。

この記事の読者の多くは事業継続などに携わる方々だと思います。災害時にトイレ問題を引き起こしてしまうと、あらゆることがうまくいかなくなると思います。

まずは携帯トイレを備え、できれば訓練で実践していただきたいと思います。また従業員の家族のためにも、携帯トイレを自宅に備えることを推進していただければありがたいです。

阪神・淡路大震災から25年が経ちます。私たちにできることは、被災された方の経験を備えに活かすことです。どうか、よろしくお願いいたします。

(了)