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たかが不倫、されど不倫。ときに経営に大きなダメージを与えることがあります。それだけではなく、家族や関係者への配慮も必要です。さらに、復帰して再スタートを切るときには、いっそうの”備え”が不可欠です。無策は、つまずきを招くだけ。今回は元衆議院議員である、山尾志桜里さんの事例から、失敗しない記者会見について考察します。

緊迫した会見

5月14日、国民民主党から参議院選挙における公認候補予定者として山尾志桜里さんの名前が発表されました。しかし、6月10日の出馬表明会見の翌日、公認が取り消される急転直下の事態となりました。山尾さんは、東大卒、検事、衆議院議員といった経歴の持ち主。トップクラスの優秀な方であることは間違いなく、女性リーダーとして活躍できる方なのだろうと思います。国民民主党の公認理由は、「どんな過去があっても再チャレンジできるようにしたい」でした。

筆者もこの方針に賛同しています。でも、なぜ、残念な結果となったのか。どんな人も再出発できる社会であってほしいという願いを込めて、著者なりの考えを提示します。問題は再ブランディングにありました。

まず経緯を確認します。2016年に週刊新潮が、山尾さんの管理団体による政治資金の不正利用疑惑を報じます。地球5周分ものガソリン代を計上していたとの報道です。2017年には週刊文春が山尾さんの不倫疑惑を、2021年には国会議員が無料でJRに乗車できる、議員パスの不正利用を報じました。加えて、報道後に結婚した不倫疑惑相手の前妻が、自死していたと報じました。

では、6月10日の出馬会見で何が起こったのか。本来ならおめでたい雰囲気で包まれる出馬会見なのに、司会者は「質問は2分以内、更問(さらとい)は1問まで。一巡したら再度質問してください」と不祥事並みのルールを伝え、緊迫した雰囲気の中で始まりました。

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