2020/02/19
知られていない感染病の脅威
世界の鳥類で現在発生している鳥インフルエンザ
2018~2019年の冬から発生は減っていますが、いまだに世界各地域で広範に鳥インフルエンザは発生しています。[図1]に最近の発生状況を示しましたが、発生していない地域が限られ、世界の家禽、水禽産業に鳥インフルエンザは大きな脅威になっています。
アジアではここ数年、ほとんど途切れなく発生が続いています[図2]。特に台湾[図3]、中国[図4]、ベトナムでの発生状況から、これらの国々では高病原性鳥インフルエンザウイルスはすでに定着していると考えられるほどです。これから少なくとも数年間は、現在の状況が継続すると予想されます。
一方、アフリカ[図1]のほか、旧東欧を中心にしたヨーロッパでも発生が続いています[図5]。特にアフリカでの発生は注目されます。[図1]からは発生した国は限定されていますが、他のアフリカの国々では情報がなく、実際に発生しているのか否かわかりません。
一度アフリカで感染病が発生してしまうと、その感染病をアフリカで根絶させることは大変難しく、エボラ出血熱ウイルスの場合のように、鳥インフルエンザウイルスは常在化してしまうことが心配されます。
アジアやアフリカ諸国では鳥インフルエンザに関する知識が乏しく、家畜衛生行政も遅れているため、これらの国々で野鳥の調査が進めば、鳥インフルエンザウイルスのさらに高い汚染状況が明らかになると筆者は予測しています。
※図はすべて農林水産省資料
人へのウイルス感染の拡大は報告されていない
2013年3月末に中国政府が、大都市を中心に、人に対して肺炎を主徴とする鳥インフルエンザが発生し、流行が始まっており、病原体は低病原性H7N9亜型鳥インフルエンザウイルスであると突如発表しました。
それから間もなく、人へのウイルス感染が起きたのは都市部に多く存在する生きた動物が食材として陳列されている生鳥市場である可能性が示されました。この市場に持ち込まれた鳥インフルエンザウイルスに感染していた鶏などが感染源になったというのです。
しかし、この病原体は鳥類に激烈な病勢を示さない低病原性のウイルスであったため、どの農村から出荷された家禽類もしくは水禽類が感染していたのか特定されませんでした。いまだに中国国内の農村部で飼育されている鶏などについて、このウイルスへの感染状況は明らかにされていません。
このウイルスは中国国内に広く拡散し、人での感染は収まらず、罹患者も冬期を中心に通年発生し続けました。さらに、このウイルスは2016年後半には高病原性を獲得するに至り、さらに危険度が高まりました。
渡り鳥を介して、中国国外にこの高病原性を獲得したウイルスが広がることが強く懸念されています。幸いなことに、中国から国外へこのウイルスが広がったという報告はまだなされていません。またこの冬、このウイルス感染による中国国内での人の感染事例はまったく報告されていません。
その理由はわかりませんが、いずれにしても、家畜衛生、公衆衛生の両面から今後も警戒し続けなければならないウイルスです。
知られていない感染病の脅威の他の記事
おすすめ記事
-
-
海外危機管理マニュアルの作成が急務
海外に社員を送り出す企業にとって、緊急事態が発生した際の対応体制は必須。どんなに現地に慣れたベテランでも、自分の身を守り切れない事態は起き得ます。ましてや現在は安全保障上の国家対立が深まり、東アジアの緊張も高まっている時代。海外危機管理サービスを手がける安全サポートの有坂錬成代表取締役に、海外進出企業が取り組むべき対策を聞きました。
2026/02/05
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/02/05
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/02/03
-
-
-
発災後をリアルに想定した大規模訓練に学ぶ
2026年1月14日、横浜市庁舎10階の災害対策本部運営室で、九都県市合同による大規模な図上訓練が行われた。市職員に加え、警察、自衛隊、海上保安庁、医療従事者、ライフライン事業者などが一堂に会し、市災害対策本部運営をシミュレーションした。
2026/01/26
-












※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方