「鳥インフルエンザ」はいまどうなっているのか(写真:写真AC)

これまで4回にわたり、人のインフルエンザウイルスと鳥インフルエンザウイルスの関連性について、主として新型インフルエンザウイルスの出現に鳥インフルエンザウイルスがどのように関与してくるのかという角度から取りあげてきました。

その中で、すべてのインフルエンザウイルスの祖先は鳥インフルエンザウイルスであることを紹介しました。鳥インフルエンザウイルス粒子の表面に存在するスパイクは、人のインフルエンザウイルスと異なり、HA(H)は16種類、NA(N)は9種類知られており、鳥インフルエンザウイルスは、人のインフルエンザウイルスと異なり多種類存在していることも紹介しました。

今回は鳥インフルエンザについて、主として「病」を中心に紹介してみたいと思います。

鳥インフルエンザとはどのような疾病か?

鳥インフルエンザは、鳥インフルエンザウイルス感染による鶏、シチメンチョウ、ウズラなどの家禽(かきん)類、アヒルやガチョウなどの水禽(すいきん)類を含む、すべての鳥類の疾病の総称です。本病に罹患(りかん)した鳥類に発現する病勢の強さから、鳥インフルエンザは2型に大別されます。

死亡率の高い「高病原性鳥インフルエンザ」
まず、過去には家禽ペストと呼ばれ、現在では「高病原性鳥インフルエンザ」に改称された、鶏を含む多くの鳥類に激烈な病原性を示し、非常に高い死亡率(90%以上)をともなう甚急性の疾病があります。

一般にはこの疾病を鳥インフルエンザと呼称することが多いですが「家畜伝染病予防法」では、高病原性鳥インフルエンザは「家畜伝染病」(いわゆる家畜の法定伝染病)の一つに指定されています。つまり、家畜の伝染病の中で最も危険度が高く、高度に警戒され、発生した場合には国の行政機関も関与する最も重要な感染病に分類されている疾病です。

鶏が高病原性鳥インフルエンザウイルスに感染すると、多い場合には飼育中の数十%の鶏が突然急死することがあり、異変に気づきます。甚急性の場合には病変の出ない場合がありますが、一般には顔面の腫脹、肉冠と肉垂の浮腫、チアノ-ゼ、脚部の皮下出血が見られます。呼吸器症状、下痢、神経症状が発現することも稀にあります。潜伏期間は3~5日です。

鳥インフルエンザには激烈なものと軽微なものがある(写真:写真AC)

ある養鶏場で飼育されている鶏が高病原性鳥インフルエンザに罹患していると診断された場合、その養鶏場およびその養鶏場に関連する養鶏場で飼育されている鶏はすべて殺処分を受け、養鶏場全体が徹底的に消毒され、病原体の完全消滅が図られねばならないのです。その過酷な業務は、可能であれば当該養鶏場自身、不可能な場合にはその養鶏場を管轄する家畜衛生行政機関が実施にあたります。実際には、行政が担当しています。

軽微な「鳥インフルエンザ」
もう一つは、臨床症状が高病原性鳥インフルエンザに比べるとはるかに軽微で、死亡率(1~2%程度)の非常に低い疾病です。この場合、感染鶏が発現する臨床症状も多彩で、軽微な呼吸器症状、下痢、産卵低下、神経症状等が単独または混合して出現します。鶏群の飼育形態および環境、鶏種、性、日齢が違えば病勢もかなり違います。不顕性感染例も決して少なくありません。病性鑑定の非常に困難な疾病ということができます。

家畜伝染病予防法では、この疾病が「鳥インフルエンザ」と呼称されます。本病は、家畜伝染病(いわゆる家畜の法定伝染病)よりも一段低いレベルの届出伝染病に指定されています。ただし、鳥インフルエンザ程度の軽微な病勢であっても、HA亜型が5あるいは7のウイルス感染の場合だけは「低病原性鳥インフルエンザ」と呼称され、家畜伝染病予防法では高病原性鳥インフルエンザと同等に扱われます。

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