2020/02/19
知られていない感染病の脅威
どのような動物が鳥インフルエンザに罹患するのか?
1980年代終わり頃まで、鳥インフルエンザは、鳥類のほかに人、あるいは豚、馬のような一部のほ乳類のみが罹患する疾病と考えられていました。現在では、さらに多くの種類のほ乳類、たとえば犬やネコ科の動物、イタチ、鼠類、アザラシ等の海獣類、クジラ、あるいはフェレットやミンクなど北方系の肉食哺乳類も、鳥インフルエンザウイルスに感染し、発病する場合のあることが分っています。
すなわち、鳥インフルエンザウイルスの宿主域は広いのです。鳥類以外の動物が鳥インフルエンザウイルスに感染して発病する場合、多くは肺炎が主な症状です。
家禽ペスト(高病原性鳥インフルエンザ)の病原体がA型インフルエンザウイルスであることが1955年に判明した結果、それ以前に分離され保存されていたすべての家禽ペストウイルス株はA型インフルエンザウイルスであることが判明しました。
また、鶏以外の外見上健康な各種鳥類(主として水かきのある水鳥)が、さまざまな種類の鳥インフルエンザウイルスを保有していることも明らかになりました。鳥類が保有している大部分のインフルエンザウイルスすなわち鳥インフルエンザウイルスは、鳥類に対して激烈な病原性を示しません。
鳥の種類によって抵抗性が違う
興味深いことに、高病原性鳥インフルエンザウイルスに対して、鳥類はその種類により必ずしも感受性の程度は同じではないことが分かっています。家禽類の中ではシチメンチョウの感受性が最も高く、鶏やウズラがその次に高い感受性を持っているようです。
水禽類を含む水鳥の抵抗性は、家禽類よりも高く、特にアヒル(マガモの一種)やガチョウ(ガンの一種)などは高病原性鳥インフルエンザウイルスに感染しても、高い割合で生き残る場合があります。一方、野生の水鳥であるカモ類の中でも、種類が違うと高病原性鳥インフルエンザウイルス感染に対する抵抗性が異なることも最近分かりつつあります。
カモ類などの水鳥では、(水掻きを持たない)カラスやスズメなどの山鳥あるいは哺乳類と異なり、呼吸器よりも腸管下部で鳥インフルエンザウイルスは旺盛に増殖します。したがって、外見上健康なカモ類等水鳥から排泄された糞中にもインフルエンザウイルスが含まれている確率は低くありません。
したがって、外見上健康なアヒル等の水鳥の糞を介して鳥インフルエンザウイルスが拡散する危険性があるという認識を持っておく必要があります。また、マウスなどの鼠類やイタチなども鳥インフルエンザウイルスに対して、ネコ科の動物同様に高い感受性を持つことも分かっています。
知られていない感染病の脅威の他の記事
おすすめ記事
-
-
海外危機管理マニュアルの作成が急務
海外に社員を送り出す企業にとって、緊急事態が発生した際の対応体制は必須。どんなに現地に慣れたベテランでも、自分の身を守り切れない事態は起き得ます。ましてや現在は安全保障上の国家対立が深まり、東アジアの緊張も高まっている時代。海外危機管理サービスを手がける安全サポートの有坂錬成代表取締役に、海外進出企業が取り組むべき対策を聞きました。
2026/02/05
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/02/05
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/02/03
-
-
-
発災後をリアルに想定した大規模訓練に学ぶ
2026年1月14日、横浜市庁舎10階の災害対策本部運営室で、九都県市合同による大規模な図上訓練が行われた。市職員に加え、警察、自衛隊、海上保安庁、医療従事者、ライフライン事業者などが一堂に会し、市災害対策本部運営をシミュレーションした。
2026/01/26
-







※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方