SFTSは新しいダニ媒介ウイルス感染症(写真:写真AC)

SFTSはどういう病気か

前回に続き重症熱性血小板減少症候群 (Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome : SFTS) について解説します。これは、これまで知られていなかった新しいダニ媒介ウイルス感染症、すなわち発熱、頭痛、全身倦怠感、下痢や嘔吐などの消化器症状、意識障害等を起こす死亡率の高いウイルス感染病です。

(図1)SFTS患者から分離されたSFTSVの電子顕微鏡検査による形態(国立感染症研究所資料)

病原ウイルス

分類学的には、ブニヤウイルス科フレボウイルス属に所属するRNAウイルスで(図1)、近縁なウイルスとしてアフリカのサハラ砂漠地帯に主に分布しているリフトバレー熱ウイルスがあります。本ウイルス粒子表面にはエンベロープという脂質タンパクからなる構造物があるため、アルコールや石けんなどの脂質溶媒に接触すると、容易に感染力を失います。

臨床症状

人がSFTSウイルスに感染して発病する場合、6日~2週間の潜伏期を経て、発熱、食欲低下、吐き気、おう吐、下痢、腹痛などの消化器症状が多くの病例で発現します。そのほか、頭痛、筋肉痛、意識障害や失語などの神経症状、リンパ節腫脹、皮下出血や下血などの出血症状などもみられます。  

血液の検査所見として、血小板減少(10万/立法ミリメートル未満)、白血球減少(4000/立法ミリメートル未満)、AST(アスパレート・アミノトランスフェラーゼ)、ALT(アラニン・アミノトランスフェラーゼ)、LDH(ラクテイト・デヒドロゲナーゼ)などの血清逸脱酵素(本来細胞内で働いている酵素が、組織障害などのために肝臓の細胞が破壊して血流中に出てくる酵素)の上昇が多くの症例で認められ、血清フェリチン(可溶性の鉄貯蔵蛋白で、肝細胞、脾臓・骨髄等の網内系細胞に多く分布している。血清フェリチン値は鉄欠乏性貧血等で低下するが、悪性腫瘍、肝障害、心筋梗塞、感染症等では、貯蔵鉄量とは無関係に上昇する)の上昇や骨髄での血球貪食像も認められることがあります。尿検査では血尿および蛋白尿が高頻度で認められます。

意識障害などの神経症状が認められる症例では、予後(病気や病状がそのまま進むと、患者が将来どのようになるか、生存か死亡かを予測すること)不良とされる場合が多くなります。死亡率は6.3~30%と報告されています。

診断

臨床症状などからSTFS罹患が疑われた場合には、確定診断が実施されます。すなわち、SFTS ウイルスの分離同定、SFTS ウイルス遺伝子検出、病状の急性期及び回復期に採血して SFTS ウイルスに対する血清中の IgG 抗体価あるいは中和抗体価の有意な上昇を確認することなどです。

この検査は国立感染症研究所ウイルス第一部で実施されています。本病を診断した医師には保健所に届け出る義務があります。

治療

現時点では、治療は対症療法のみが実施されています。有効な薬剤は開発されていません。リバビリン(C型肝炎やウイルス性出血熱などの治療薬。ウイルスのRNA合成を中断させる作用を持つ)が本病治療に使用されたという報告はありますが、その有効性は確認されていません。

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