2012/11/25
誌面情報 vol34
グループ支援や専門家派遣
各都道府県でも中小企業へのBCP策定支援が活発になっている。複数社を集めて合同研修を行うグループコンサルティングや、専門家の派遣、指導者の育成、モデル様式の提供などが行われている。背景には、中小企業が自ら資金を投じてまでBCPを策定することができないなどの事情がある。
■指導者を育成<静岡県>
東海地震や東海・東南海地震の発生により大きな影響が懸念される静岡県では、早くから中小企業のBCP策定支援に取り組んできた。同県の支援事業の特長は、産学官民の連携により、複数の仕組みを組み合わせ、継続的に支援をしていること。
代表的なものがBCP指導者の養成。大学機関やNPOと連携し、BCPの策定が支援できる指導員を養成し、その指導員を、BCPの策定を希望する中小企業に派遣する。平成20年度から開始し、これまでに中小企業診断士など76名を指導員として登録した。さらに、中小企業がBCPを策定しやすいよう、東海地震、東海東南海地震など地域特有の災害に配慮した・「静岡県事業継続計画モデルプラン」をつくり、ホームページなどで公表。BCPの知識が十分になくても取り組みやすいよう具体的なテンプレートなども盛り込まれている。また、産官学民によるBCPの普及啓発と、実効性を高めていくための研究会も設置。常に情報交流をすることで、継続的にBCPに取り組める仕組みを整えている。
同県では、信用保証協会が、BCPを策定している企業に対して、大地震などの激甚災害発生の際、事業の再建に必要な資金を迅速に手当てすることができる「災害時発動型保証予約システム(BCP特別保証)」を開発するなど、行政以外でも中小企業に対するBCP策定支援が積極的に行われている。保証内容は基本的には「激甚災害保証制度」と同じ。補償限度額は2億8000万円で、うち8000万円が無担保となる。資金の使途は事業の再建に必要な運転資金、または設備資金で、保証期間は10年以内。被災後、事業の停止によって資金繰りが厳しくなっても、この制度により、早期に資金調達ができるという仕組みだ。
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